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結論から書くと、開業届を出しても法人税はかかりません。法人税は会社(法人)にかかる税で、個人事業主にかかるのは所得税と住民税、それに法定業種なら個人事業税です。法人にすると、赤字の年でも法人住民税の均等割が年7万円かかります。この記事では、個人事業主・法人・マイクロ法人の3つで何がどう変わるかを、国税庁などの資料で確認して並べました。
筆者は金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、個別の銘柄や特定の金融商品、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。また税理士でもありません。本記事は2026年10月時点の公表資料をもとにした一般的な整理で、自分の場合にどうなるかという具体的な判断は、税理士や税務署に相談してください。
開業届を出しても法人税はかからない(成立済み)
開業届は、個人で事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。これを出したからといって、法人になるわけではありません。法人税は法人の所得にかかる税なので、個人事業主は対象外です。
個人事業主が払うのは所得税です。事業の売上から経費を引いた所得に、所得税の税率がかかります。「開業届を出すと法人税がかかるのでは」という心配は、ここで切り離して考えられます。
個人事業主にかかる税金(成立済み)
- 所得税:売上から経費を引いた所得に対してかかります。所得が増えるほど税率が上がる累進の仕組みです。
- 住民税:前年の所得に応じてかかります。
- 個人事業税:都道府県の税です。法定業種に当たる事業の所得から事業主控除の290万円を引いた残りに、業種によって3%から5%の税率がかかります。所得が290万円以下なら納める額は出ません。法定業種に当たらない事業(文筆業など)はそもそも対象外です。
赤字の年は所得がないので、所得税も個人事業税も出ません。ここが法人との大きな違いです。
青色申告をしていれば、赤字(純損失)を翌年以後3年間繰り越して、黒字の年の所得から引けます。国税庁のタックスアンサーに書かれている青色申告の特典のひとつです。
法人にすると増えるもの(成立済み)
会社をつくると、かかる税が入れ替わります。
- 法人税:資本金1億円以下の中小法人は、所得のうち年800万円以下の部分が15%、800万円を超える部分が23.2%です。令和7年4月1日以後に開始する事業年度では、所得が年10億円を超える事業年度に限り、800万円以下の部分が17%になります(国税庁タックスアンサーNo.5759)。
- 法人住民税の均等割:資本金等1,000万円以下・従業者50人以下なら、標準税率で道府県民税が年2万円、市町村民税が年5万円、合わせて年7万円です。これは赤字でもかかります。自治体の条例で標準税率を上回ることがあるので、事務所がある自治体の案内で確認が必要です。
- 自分の所得税・住民税:法人から役員報酬をもらうと、それは給与として自分の所得になります。法人の税とは別に、個人の側でも税がかかります。
赤字でも年7万円という部分が、私には一番わかりやすい分かれ目に見えます。事業が小さいうちは、この7万円が重いということです。
2026年4月から始まる防衛特別法人税(成立済み)
2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度から、法人税額への上乗せとして防衛特別法人税が課されます。計算は「基準法人税額から500万円を引いた額の4%」です。
つまり基準法人税額が500万円以下なら納める額はゼロになるので、小さな法人で実際に負担が出ることはあまりありません。ただし納税額がゼロでも申告は必要とされています。小規模な法人をつくる場合は、手間のほうが先に増えると思っておくほうがいいと思います。
会社をつくるときの法定費用(成立済み)
- 株式会社:登録免許税は資本金の0.7%で、最低15万円。定款認証の手数料が資本金の額に応じて3万円・4万円・5万円。紙の定款なら収入印紙が4万円(電子定款なら0円)。電子定款を使えば、おおむね18万円から20万円ほどです。
- 合同会社:登録免許税は資本金の0.7%で、最低6万円。定款認証は不要。電子定款なら6万円ほどから始められます。
「最低6万円」は合同会社の数字、「20万円前後」は株式会社の数字です。ひとまとめに「6万円から20万円」と書かれていることがありますが、どちらの形を選ぶかで額が変わります。
マイクロ法人とは何を指す言葉か
マイクロ法人は法律上の用語ではありません。本人ひとり、あるいは家族だけで運営する小さな法人を指す言い方として使われています。
よく語られる狙いは社会保険です。法人から役員報酬を受け取ると、国民健康保険・国民年金ではなく、健康保険・厚生年金の被保険者になります。保険料は報酬の額で決まる仕組みなので、報酬を低く設定すると保険料が下がる形になります。
ただし、健康保険と厚生年金の保険料には会社負担分があり、ひとり法人ではその会社負担分も結局は自分が出すお金です。さらに毎年の決算と申告、均等割の7万円、税理士に頼むならその費用が足し算されます。保険料だけを見て得かどうかは決まらない、というのが私の理解です。
まだ決まっていないこと(検討段階)
マイクロ法人や社会保険の扱いについては、見直しが議論されることがあります。私は、議論の段階の話を数字つきで書くことはしないようにしています。決まってから書くほうが、読む人の役に立つと思うからです。
この記事に書いた数字は、2026年10月時点で成立している制度のものです。法人をつくるかどうかを決める時点では、もう一度確認してください。
50代の私が、いまどう考えているか
私は確定申告を自分でやっています。法人にするかどうかは何度か考えましたが、いまは個人のままです。理由は3つです。
- 赤字の年に7万円を払う形をつくりたくなかった。収入の上下が大きいので、固定で出ていくお金を増やしたくない。
- 決算と申告の手間が増える。その時間を、会社を調べる時間に使いたい。
- 法人にする利益が出てから考えても遅くない。先に形だけつくる理由が、私には見つからなかった。
これは私の判断で、事業の形や家族の状況が違えば答えも変わります。実際に決めるときは、数字を持って税理士や税務署に相談してください。
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