売られた株はどうやって戻ってくるの?その“からくり”とは?
証券会社の対応で「勝手に売られた株を買い戻して返却」とよく書かれていますが、実際にどうやってそんなことが可能になるのか、気になりますよね。
この部分を、わかりやすく言うと「証券会社が自腹で株を買い直して補てんしてくれている」という仕組みです。
では、もう少し具体的に説明していきます。
① 売却された履歴をすぐ確認できる
証券会社は、あなたの証券口座で「いつ・どの銘柄を・いくらで・どれだけ売ったか」という売買履歴を正確にすべて記録しています。
そのため、
- どの株が
- 何株
- いくらで売られて
- 売ったお金がどこに行ったか
がすぐに追跡できます。
② 売られた株を「同じ数だけ」買い戻す
乗っ取りによって売られてしまった株がある場合、証券会社は、
「あなたが元々持っていたのと同じ銘柄・同じ株数を、今の市場価格で買い戻す」
という対応をします。
例えば、以下のような場合
項目 | 状況 |
---|---|
乗っ取られて売られた株 | トヨタ株 100株 |
売られた時の価格 | 1株 2,000円(計20万円) |
現在の市場価格 | 1株 2,100円(買い戻すと21万円) |
この場合、証券会社は21万円かけてあなたの口座に「トヨタ株100株」を戻してくれるというわけです。
つまり、価格が上がっていたとしても、差額は証券会社が負担します。
③ なぜそんなことができるの?
証券会社には、こうしたトラブルに備えて、
- 「事故対応用の予備資金」
- 「損害保険」
などが準備されています。
また、万が一その証券会社だけで負担できないほどの被害になった場合は、
証券業界全体で加入している「日本投資者保護基金」などからの補償も可能です。
つまり、証券会社は単独ではなく業界全体で“補償の仕組み”を整えているんです。
補足:補償されるのは「原状回復」が基本
補償は原則として「事件がなかったことに戻す」というのが基本です。
そのため、
- 株が売られた → 同じ銘柄を買い戻して返却
- 現金が抜かれた → 同額を入金
というのがベースになります。
ただし、株価が大きく変動していて買い戻しが困難な場合や、流動性がない銘柄の場合は、
- 金銭での補償
- 同等価値の別手段による補填
という形で対応されることもあります。
株が戻ってこない例もあるの?
以下のような場合は、一部しか補償されない可能性があります
- パスワードを他人と共有していた
- パソコンやスマホにウイルス対策をしていなかった
- 明らかに怪しいメールにログインしていた
など、「顧客側にも過失があった」と判断された場合です。
✅ まとめ:株が戻るのは“補償ではなく、再購入”
証券口座が乗っ取られてしまっても、多くの証券会社は
「同じ株をもう一度、証券会社が買って返してくれる」
という対応をしてくれます。
この対応には多額のコストがかかることもありますが、それでも顧客の信頼と資産保護を最優先する姿勢を各社が見せているのは安心材料です。
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