まず「自分だけの配当利回り」
投資を始めたばかりの方に、まずこれを理解してほしいのです。
ニュースや証券会社が表示している「配当利回り」は、今日の株価に対する配当の割合です。
でも、長期投資家にとって本当に大事なのは**「自分が買った時の値段(取得価格)に対して、今いくら配当をもらっているか」**という数字です。
これを**「取得利回り(自分だけの配当利回り)」**と呼びます。
増配し続ける優良株を保有し続けると、この「自分だけの利回り」が勝手に育っていきます。これが高配当株投資の最大の醍醐味です。
伊藤忠商事(8001)の増配の歴史
画像を見てください。伊藤忠商事の1株配当の推移がこうなっています。
| 年度 | 1株配当 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2010/03 | 3円 | — |
| 2011/03 | 3.6円 | +20% |
| 2012/03 | 8.8円 | +144% |
| 2013/03 | 8円 | -9% |
| 2014/03 | 9.2円 | +15% |
| 2015/03 | 9.2円 | ±0% |
| 2016/03 | 10円 | +8.7% |
| 2017/03 | 11円 | +10% |
| 2018/03 | 14円 | +27% |
| 2019/03 | 16.6円 | +18.6% |
| 2020/03 | 17円 | +2.4% |
| 2021/03 | 17.6円 | +3.5% |
| 2022/03 | 22円 | +25% |
| 2023/03 | 28円 | +27% |
| 2024/03 | 32円 | +14% |
| 2025/03 | 40円 | +25% |
| 2026/03(予) | 42円 | +5% |
2010年に3円だった配当が、2026年には42円の予定。16年で14倍です。
100万円を5年前(2021年頃)に投資していたら?
「配当利回り3%で買えた時点」を仮定する
2021年3月頃の伊藤忠商事の株価は約3,000円前後でした。 (現在の株価は2,267円ですが、これは株式分割前後の調整を考慮した参考値です)
ここでは「取得価格を配当利回り3%で買えた」と仮定します。
当時の配当が1株17.6円(2021/03期)だったとすると——
配当利回り3% = 1株配当 ÷ 株価
17.6円 ÷ 0.03 = 約587円(100株単位なら約58,700円/単元)
仮に1株あたり約587円(取得価格)で買えたと設定して話を進めます。
(実際には2021年頃の実勢株価と異なりますが、「配当利回り3%で購入できた」という条件での試算です)
100万円で何株買えたか?
100万円 ÷ 587円 = 約1,704株(100株単位なら1,700株)
取得総額:587円 × 1,700株 = 997,900円(≒100万円)
年ごとに「自分だけの利回り」がどう育ったか
| 年度 | 1株配当 | 受取配当金(1,700株) | 自分だけの利回り(取得価格587円基準) |
|---|---|---|---|
| 2021/03 | 17.6円 | 29,920円 | 3.0%(買った瞬間) |
| 2022/03 | 22円 | 37,400円 | 3.75% |
| 2023/03 | 28円 | 47,600円 | 4.77% |
| 2024/03 | 32円 | 54,400円 | 5.45% |
| 2025/03 | 40円 | 68,000円 | 6.81% |
| 2026/03(予) | 42円 | 71,400円 | 7.14% |
何もしていないのに、利回りが3%→7.14%に育っています。
ポイント——増配の力
たとえば、あなたが100万円でアパートを建てたとします。 最初の家賃収入は年間3万円(利回り3%)でした。
でも大家さんがとても優秀で、毎年少しずつ家賃を上げてくれます。
5年後、家賃は年間7万円になりました。 アパートを建てるのにかかった費用は変わらず100万円です。
あなたの「利回り」は3%から7%に育ったのです。何もしていないのに。
これが「増配の力」です。
株価の値上がりまで加えると——さらに驚きの数字
現在の伊藤忠商事の株価は2,267円(2026年2月19日)。 今日の配当利回りは**1.85%**と低く見えます。
でも、5年前に587円で買った人の話を続けましょう。
取得価格:587円 × 1,700株 = 997,900円(元本)
現在の株価:2,267円 × 1,700株 = 3,853,900円(時価)
値上がり益:3,853,900円 − 997,900円 = 2,856,000円
100万円が、5年で385万円になっています。値上がりだけで285万円のプラス。
元本回収は「配当だけ」でも何年かかるか
5年間で受け取った配当合計を計算します。
2021年:29,920円
2022年:37,400円
2023年:47,600円
2024年:54,400円
2025年:68,000円
─────────────────
5年合計:237,320円
元本は約100万円なので、配当だけでの元本回収には約20年かかる計算です。
「20年は長い!」と思いましたか?
でも待ってください。現在の株価2,267円で時価385万円になっているので、今売ればすでに元本は4倍近くで回収済みです。
「元本回収」の意味が2つあります。
ひとつは「売って回収する」——これはもう達成済み(285万円プラス)。
もうひとつは「配当だけで元本を取り戻す」——これが「タダ株」状態への道です。配当だけで元本回収できた後は、株価がどれだけ下がっても「元は取れている」という精神的安定が手に入ります。
「タダ株」状態への道——増配が続けばどうなるか
今後も伊藤忠商事が増配を続けると仮定した試算です(年5〜10%増配を想定)。
| 年度 | 1株配当(想定) | 年間受取配当(1,700株) | 累計受取配当 |
|---|---|---|---|
| 2026 | 42円 | 71,400円 | 308,720円 |
| 2027 | 46円 | 78,200円 | 386,920円 |
| 2028 | 50円 | 85,000円 | 471,920円 |
| 2029 | 55円 | 93,500円 | 565,420円 |
| 2030 | 60円 | 102,000円 | 667,420円 |
| 2031 | 66円 | 112,200円 | 779,620円 |
| 2032 | 73円 | 124,100円 | 903,720円 |
| 2033 | 80円 | 136,000円 | 1,039,720円 |
2033年頃(約12年後)、配当の累計が元本の100万円を超える。
その後は、配当を受け取るたびに「プラス」が積み上がるだけ。株価が下がっても、配当をもらい続けることができます。これが「タダ株」状態です。
現在の株価2,267円で今から買う人はどうか?
「今日の配当利回りは1.85%で低い」——確かにそう見えます。
でも、増配が続くという前提で考えると話が変わります。
現在株価:2,267円
現在の1株配当:42円(予)
今日買った人の「今の利回り」:1.85%
もし今後10年で配当が倍になって84円になったら——
「自分だけの利回り」=84円 ÷ 2,267円 = 3.7%
今1.85%で買っても、10年後には「自分だけの利回り」が3.7%以上になる可能性があります。
ただし現在の株価2,267円は「割高」感があります。チャートを見ると、30年の長期チャートで株価は急激に上昇しており、ここから同じペースで上がり続けることを期待するのはリスクがあります。
今すぐ全力で買うのではなく、暴落時(株価が15〜20%以上下がった時)に集中的に仕込む対象として「準備リスト」に入れておく。
増配株投資
①:自分だけの利回りが育つ 3%で買った株が、増配によって5年後に7%の利回りになる。何もしなくていい。
②:株価も上がる 増配を続ける企業は「稼ぐ力がある企業」の証明。稼ぐ力がある企業の株価は長期で上がる傾向がある。配当+値上がりの「ダブルの利益」が手に入る。
③:暴落が怖くなくなる 株価が下がっても配当は変わらない(増配すらある)。「株価が下がった=配当利回りが上がった=買い増しチャンス」という思考になれる。
これが、高配当増配株投資を「最強の精神安定剤」
※本記事の数値はすべて参考・試算値です。将来の増配・株価上昇を保証するものではありません。投資は自己責任でお願いします。

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