JALの客室乗務員が、すぐ辞める3つの理由。

こんにちは!私は元JAL(日本航空)の客室乗務員で、30年間この仕事を続けてきました。その経験から、なぜ多くの客室乗務員がすぐに辞めてしまうのか、その理由をリアルなデータでお届けします。

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なぜCAはすぐ辞めるのか

JALで30年働いた私ですが、正直に言うと、同僚が次々と辞めていく姿を何度も見てきました。特に最近の若いCA(キャビンアテンダント)は、入社して数年で退職する人が多いんです。理由は大きく3つ。過重労働、低賃金、そしてキャリアの限界。これを私の経験とデータで紐解きます。

1. 過重労働:体と心が持たない

CAの仕事は華やかに見えますが、体力と精神力が試される過酷な現場です。私が新人だった1990年代は、長時間フライトでも休憩がしっかり取れました。でも、今は違います。

私の時代は長距離フライトなら2泊3日でしたが、今は1泊3日も当たり前で、連続勤務といって、中国日帰りの翌日からクアラルンプールやシンガポールなどのフライトがあり、十分な休養時間がとれません。4−2の勤務体制で国内線は1日目が沖縄往復して翌日から2泊3日のフライトだと、通勤だけで精一杯なので家庭を持った客室乗務員にとっては過酷なスケジュールと言っていいと思うんです。

「時間はお金より大事で、体を壊したらどうしようもない」って病気になってからわかってももう遅いんですが、キツイといって会社を休むのもなかなかできるような状態ではないし、重量挙げ選手かっていうくらい重い手荷物を(荷物の重さは10kg以上になることも)お客様が通路に放置したら、後ろから会社からはご自身でやってもらってくださいって言われているけど、そんなこと言えないし、持ち上げるしかないってことで、持ち上げます。

離着陸前のOVER HEAD STRAGE BINの職種確認は私みたいなちびにとっては過重労働なんです。だからで辞めたくなる気持ちわかります。

2. 低賃金:頑張りが報われない

CAって高給のイメージありますよね?でも、現実は厳しい。特に新入社員は、生活がギリギリです。JALの募集要項(2025年予定)では、初任給をJALHPからみてみましょう。

客室乗務員の給与データ(基本給221,000円+乗務手当約50,000円:70時間)から、年収と手取り額を計算してみます。

基本給 221,000円/月
乗務手当  約50,000円/月(乗務時間70時間の場合)
合計月収 221,000円 + 50,000円 = 271,000円/月
注記
– 乗務手当は乗務時間で変動する(70時間で50,000円なら、1時間約714円)。
– 2025年3月1日時点では基本給が211,000円だった(今は1万円アップ)。

年収

約390万円(3,929,500円)

月収271,000円 × 12ヶ月= 3,252,000円

JALは大手企業なので、ボーナスは夏・冬で各1~2ヶ月分が相場。仮に年間2.5ヶ月分とすると271,000円 × 2.5ヶ月 = 677,500円
年収 = 3,252,000円 + 677,500円 3,929,500円

ボーナスが1ヶ月分なら約353万円、3ヶ月分なら約406万円なので、現実的には350~400万円が妥当。

手取り額の計算

手取りは、年収から税金や社会保険料を引いた額です。日本の給与体系に基づいて計算します。

所得税 年収393万円の場合、給与所得控除(約108万円)を引いた課税所得は約285万円。税率10%で源泉徴収額は約28.5万円(住民税含む)。
社会保険料: 健康保険、厚生年金、雇用保険で月収の約14~15%(約4万円/月)。年間で約48万円。
総控除: 28.5万円 + 48万円 = 約76.5万円

手取り額

約316.5万円

年収393万円 – 控除76.5万円= 約316.5万円
月手取り: 316.5万円 ÷ 12ヶ月 = 約26.4万円

月に約26万円で、乗務時間70時間ってけっこうキツイんです。若いときはできてもフライトの翌日が寝たきりだったりして、フライト中の洗濯くらいしかできない休みもあります。

乗務時間の変動: 70時間で50,000円の手当なので、国内線ばかり飛ぶと40〜50時間の時もあります。それだと50時間で計算して約35,000円(月収256,000円)、90時間なら約64,000円(月収285,000円)。年収は約330~420万円に変動。

「月26万円手取りなら、生活はできるけど投資だと工夫が必要です。自分のお金に働いてもらういながら将来に備える必要があります」

昔高かったパーディアムは今はとても低いんです。

「頑張っても生活が楽にならない」と感じたら、辞めちゃいます。

3. キャリアの限界:未来が見えない

CAは「一生の仕事」じゃない現実があります。私が30年続けたのは珍しい方で、多くの同僚は別の道を選びました。

2020年の「Simple Flying」記事によると、JALはコロナ禍でCAを地域のふるさと応援隊として出向させたり、他の業界へ出向しました。

その結果、ITリテラシーがついて会社をやめたり、違う業種へのきっかけとなり、2010年破綻時の解雇(16,000人)も含め、コロナ禍で採用を中止したこともあり人材不足のままです。

私の同期は、結婚や出産でやめたり、破綻前の希望退職で多く辞めていきました。私もあの時、表示された3倍の額の退職金でやめていたら、マイナス500万円っていう退職金で、企業年金と相殺して最終的にもらった金額は500万円でした。

JAL初の女性社長、鳥取美津子さん(元CA)が2024年に就任したのは希望の光だけど、彼女は例外で、普通のCAは管理職に上がる道が狭く、40代で「次がない」と感じる人が多いのも事実です。日本で女性管理職は12.9%(2023年、Global Gender Gap報告)で、JALは2026年までに30%が目標ですが、CA出身はごく少数。キャリアアップの夢が持てないんです。

やはり「将来に希望があるって大事ですよね!行き止まりの仕事じゃ時間もったいないんです」って言うはず。CAの仕事に未来が見えないと、辞める決断が早まります。

やめられないのは、JALという看板や、信頼信用みたいなものが大きくて、辞めてみると、失った時間の機会損失が多かったって思うこともあります。

辞める理由は、時間と金

30年働いた私から見ると、CAがすぐ辞めるのは、過重労働で体が持たず、低賃金で報われず、キャリアの限界で希望が持てないから。

航空業界全体では若手CAの離職率が高い傾向にあり、航空業界全体の離職率を示すデータとして、2021年の国土交通省の調査では、20代の客室乗務員の離職率が平均15%以上であることが報告されています。

「CAは夢の仕事かもしれないけど、時間とお金を賢く使えないから、別の道を探すのもアリ」なのではないでしょうぁ。私みたいに30年続けるのは、今の時代じゃレアケースなのかもしれません。

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