キャビンアテンダントが機内で盗撮されていることを知っていますか?
実は、機内でキャビンアテンダントの71%が盗撮被害にあっています。
なぜなら、機内で起こる盗撮行為は、検挙されにくいからです。
この記事では、盗撮されたキャビンアテンダントが、泣き寝入りするしかない現状を説明しています。
この記事を読むと、機内での盗撮が、飛行機の中という特殊な環境が原因で、検挙されない実態がわかります。
キャビンアテンダントの盗撮被害
2023年、航空連合がキャビンアテンダントを対象に「盗撮・無断撮影に関するアンケート」調査を行ったところ、JALやANAなど複数の航空会社のキャビンアテンダントから回答が集まりました。
その結果、キャビンアテンダントの71%が盗撮された経験があることが判明しました。客室乗務員(CA)の盗撮・無断撮影横行、スカートの中を盗撮も : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
うち1割弱は、スカートの中を盗撮される被害でした。
しかし、盗撮されたキャビンアテンダントの多くは、乗客からのクレームを恐れて声を上げることができず、泣き寝入りせざるを得なかったと述べています。
アンケートでは、盗撮や無断撮影をされた経験があると回答したキャビンアテンダントのうち、半数以上が「具体的な行動を起こすことができなかった」と回答していることも明らかになりました。
盗撮の具体例
スマホでスカートの中を撮影
出典:ベリーベスト法律事務所
乗客が、スマホの画面を裏返しにして、キャビンアテンダントのスカートの中を撮影していたが、キャビンアテンダントは、クレームを恐れて何もできなかった。
固定したカメラで撮影
キャビンアテンダントと乗客が対面に座る座席で、不自然に荷物が固定されており、カメラがキャビンアテンダントのスカートを捉える位置を向いていた。
他の乗客からの指摘
他の乗客から、キャビンアテンダントを盗撮している乗客がいる、と指摘されたケースも多く、これによって、盗撮行為が他の乗客にも目撃されていることが明らかになりました。
盗撮写真が送られてくる
空港や機内で無断撮影された写真が、突然、手紙を添えて会社に届く。
キャビンアテンダントが泣き寝入りする理由
出典:FNNプライムニュース
被害が「ある」と回答した人のうち画像の削除を依頼したのは22%で、口頭で注意したのは18%だけです。
57%は「対処できなかった」と答え、多くのキャビンアテンダントが「撮られていると思っても、『逆上されたら』『勘違いだったら』と考え、簡単には言い出せない」と思っています。
キャビンアテンダントが盗撮行為に対して泣き寝入りしてしまう理由には以下のような要素があります。
判断の難しさ
キャビンアテンダントは飛行機内で業務を行っているので、乗客による撮影行為がどこまでが盗撮に該当するのかを明確に判断することが難しいのです。
例えば、自身を撮影しているのか、飛行機内の風景を撮影しているのか、判断が難しいのです。
クレームや逆上の恐れ
盗撮行為に気付いた場合でも、キャビンアテンダントが乗客に声をかけると、乗客から逆にクレームや暴言、暴力などの被害を受ける可能性があります。
また乗客が会社にクレームを寄せることは多く、キャビンアテンダントにとっては職場でのトラブルや自分の昇格を妨げる恐れがあると思って、泣き寝入りする人が多いのです。
盗撮が検挙されない理由
出典:稲葉セントラル法律事務所
盗撮行為が検挙されない主な理由は以下の通りです。
法律の不備
盗撮行為を直接取り締まる法律が存在しないため、明確な規制がありません。
迷惑防止条例は国や都道府県ごとに制定されており、機内での適用が困難なのです。
飛行状況の特殊性
盗撮行為が主に国内線で起こっているため、どの都道府県上空で盗撮が行われたかを特定することが困難で、飛行機内は暗く、風景が単調であるため、犯行場所を特定することが難しいので、立件できないのです。
法的規定の欠如
飛行機内での「安全阻害行為」に関する法的規定には、「盗撮」が明確に明記されていません。
これにより、盗撮行為に対する厳格な取り締まりが難しいのです。
盗撮が検挙されない理由
- 盗撮行為を直接取り締まる法律がない。
- 迷惑防止条例は、国や都道府県ごとに制定されているので機内では適用が困難。
- どの都道府県上空を飛んでいる時に、盗撮が行われたか判断しにくい。
- 機内は暗く、同じ風景が多いので、犯行場所が確定できないので立件できない。
- 飛行機内の「安全阻害行為」の中に、「盗撮」が明記されていない。
航空連合会長の声
航空連合会長は、キャビンアテンダントが盗撮被害に遭った場合、その声が現場から会社まで届く件数が少ないことを認識しています。
現在の航空法に基づく省令には、盗撮を含めた対策が盛り込まれておらず、キャビンアテンダントを守るためには法的な手段を追加する必要があると述べています。
航空連合副事務局長の声
航空連合副事務局長は、乗客同士の間で盗撮が発生した場合でも、特定の場所を特定することが困難であるため、取り締まりが困難であることを指摘しています。
キャビンアテンダントは、飛行機内で秩序を守る役割を担っているにも関わらず、被害に遭った乗客を法的に守る手段がないのです。
キャビンアテンダントを盗撮から守るためには
日本政府は2023年度の国会で、成立を目指す「撮影罪」を盛り込んだ新法案で性的撮影などへの処罰の強化を図りますが、対象となるのは一部の行為だけです。
法的な規制の強化
盗撮行為に対する法的規制を整備し、盗撮を含めた迷惑行為に対する罰則を明確化する。
教育とトレーニングの強化
航空会社はキャビンアテンダントに対し、盗撮行為の予防策や対応方法についての教育とトレーニングを行う。
キャビンアテンダントは乗客の安全と快適さを確保するだけでなく、自身の安全とプライバシーも保護するためのスキルを身に付ける必要があります。
監視システムの導入
飛行機内にセキュリティシステムを導入し、盗撮行為を抑止するための監視体制を作る。
まとめ
飛行機内でキャビンアテンダントが盗撮被害に遭う割合は、調査結果によれば70%以上という結果が示されました。
しかし、多くのキャビンアテンダントは声を上げることができず、泣き寝入りするしかない現実があります。
盗撮が検挙されない理由は、盗撮行為を直接取り締まる法律の不備や、迷惑防止条例の適用が困難なこと、飛行機内での犯行場所特定の困難さ、などが挙げられています。
航空連合会長や副事務局長は、キャビンアテンダントが盗撮被害に遭った際に身を守る方法について検討する必要があると述べています。
盗撮行為を適切に取り締まるためには、法的な規制の整備や法律の改正が求められ、航空会社や関連団体はキャビンアテンダントの教育、盗撮行為の防止策や対応方法についてのトレーニングを強化することが求められています。
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