JALの鳥取三津子社長とは
鳥取三津子さんは、日本航空(JAL)の歴史において異例の経歴を持つ人物です。
1985年に東亜国内航空(後のJAS)に客室乗務員として入社し、JALとJAS合併時には、安全マニュアル統合など重要な業務を担当、安全運航への貢献が評価され、2020年に執行役員、2022年に常務執行役員に就任し、2023年には代表取締役専務執行役員(グループCCO)を経て、2024年4月より現職のグループCEOに就任しました。
JAL初の女性社長であり、短大卒、そして客室乗務員(CA)出身という異例の経歴からの抜擢で、旧日本エアシステム(JAS)出身者がJALのトップに就任するのも初めてであり、注目されました。
客室乗務員としてスタートした彼女は、2019年には「客室安全推進部長」、2020年には「執行役員客室本部長」に昇進し、2023年には「専務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長」として顧客価値向上を推進し、経営層でリーダーシップを発揮しました。
株価
JALの株価は2020年のコロナショックで急落し、2020年11月9日に上場来安値の1556円をつけていましたが、その後、JALの業績は回復傾向にあり、2024年3月期の純利益は955億円で、前期比177.5%増加しました。
2024年12月16日時点で、JALの株価は上場来安値から61%上昇し、2025年3月期の業績予想では、純利益1000億円(前期比4.7%増)を見込んでいます。
つまり、鳥取三津子社長の就任前後、JALの業績と株価は全体的に回復傾向にあることが株価から読み取れます。
経営方針
鳥取社長は、人件費の増加を「費用ではなく、投資と考えている」と述べ、安定的な人材確保に不可欠な投資との考えを示し、2024年4月24日のインタビューでは、円安に対する懸念を表明し、1ドル=130円程度の水準が望ましいとの考えを示しています。
JAS出身
JASの人がJALで働き始めたのは、2002年10月2日からで、この日に、日本航空(JAL)と日本エアシステム(JAS)の経営統合が行われ、共同持株会社である株式会社日本航空システム(JALS)が発足しました
JASの社員のストレス
機種資格の取得:JASとJALで使用機種が異なっていたため、JASの客室乗務員はJALの機種(777や767など)の資格を取得する必要があり、社風や企業文化も大きく変化したことで社内では混乱が続きました。
また統合によって人員効率化が行われ、統合後3年間で約3000人の人員削減が計画されました。
JALのやり方に統一
変化内容
JALとJASは異なる企業文化やサービススタイルを持っていましたが、サービス基準を統一する必要があり、JASの客室乗務員にはJALの接客マニュアルや手順の習得が求められた。そのことで旧JASの乗務員はJALの厳格な規律や手順に適応する必要があり、慣れるまでプレッシャーを感じることがあったと言われています。一方で、旧JALの乗務員もJASのサービススタイルに対応することに戸惑ったケースが見られました。
フライトルートの再編成:JALとJASは統合により国内線・国際線のルートが再編成され、一部の乗務員には担当するフライトや勤務地が大きく変わることがあり、慣れ親しんだ路線やチームから離れることや、長距離国際線を担当する機会が増えたことで、時差ボケや体調管理が以前よりも難しくなったとの声がありました。
キャリアパスと人事制度の変更:両社の人事制度や昇進システムが異なっていたため、統合後に新しい制度へ移行し、昇進基準や評価方法の違いが不安材料となりました。「旧JAS出身だから」「旧JAL出身だから」といった偏見が昇進や評価に影響を及ぼすという不安が広がり、不公平に疑問を感じることがあったとされています。特に旧JAS出身者にとっては、JALの大型機や国際線での業務内容が未経験だったため、膨大な量の新しい知識やスキルを短期間で習得するプレッシャーがありました。
統合後、昇進やリーダーシップポジションをめぐる競争が激化したことにより、同僚間での緊張感が増したケースがあり、「評価基準が不明瞭」と、不満を抱えたことがありました。
鳥取社長のリーダーシップ①
コロナ禍で打撃を受けた航空業界を立て直す中で、非航空事業への多角化やレジリエンス(耐性)のある経営を目指し、新たな成長戦略を描いています。
「安全とサービス」という基本軸を守りつつ、2030年までにEBIT(利払い・税引き前利益)3000億円を目指すという大胆なビジョンも掲げています。
見せかけの女性活躍
鳥取社長の就任は、女性活躍推進やダイバーシティ重視する社会が生み出した偶像です。
過度なコスト削減による出世
日本航空(JAL)の鳥取社長は、その卓越したリーダーシップと革新的な判断で、航空業界に新たな歴史を刻みました。
特に注目すべきは、JALのボーイング787型機におけるL1(左側の前方ドア)とR1(右側の前方ドア)の運用に関する大胆な効率化策で、鳥取社長はJAL内部での評価を飛躍的に高め、組織内での地位を盤石なものにしました。
この取り組みがどれほど画期的で、どのような影響をもたらしたのか…
コストカットと人員不足の同時解消
背景:787型機の運用開始と課題
JALは2012年4月22日にボーイング787-8型機を成田-ボストン線で初運航しました。787型機は、燃費効率が優れており、中長距離路線での活用に最適とされていましたが、この機材には客室内に8つの非常ドアがあり、従来の運用ではそれぞれのドアに1人の客室乗務員を配置する必要がありました。
ところが、2012年当時のJALでは、客室乗務員の人員不足という問題を抱えており、編成数を6~7人に抑えざるを得ませんでした。
鳥取社長の社員犠牲型コストカット:L1/R1ドアを1人で担当
鳥取社長は、これらの課題に直面する中で、画期的な運用変更を提案し、前方のL1およびR1ドアを従来2人で担当していた体制を1人にするという大胆なものでした。
この変更により、客室乗務員は業務量が増え、安全に不安を感じる人もいました。ドアモード変更は他人の目でのダブルチェックが基本だからで、ICAOにおいても、Boeing 787型機には8人の客室乗務員が必要で、787型機の各ドア(計8カ所)に1人の客室乗務員を配置することを推奨しています。
会社への社員を犠牲にした貢献
L1とR1の担当を1人にすることで、1フライトあたりの必要乗務員数を減らし、運航コストの削減に成功しました。この効率化により、JALは年間で数十億円規模のコストカットを実現しました。
人員不足の問題を解消
2010年代初頭、日本の航空業界全体で客室乗務員の確保が課題となっていました。特にJALは経営再建中であり、人件費の抑制が必要不可欠で、鳥取社長の施策により、人員不足の問題を効率的に解消することができました。
2024年1月2日の事故とその影響
2024年1月2日に羽田空港で発生した事故は、航空業界全体に大きな衝撃を与えました。この事故を受けて、JALは安全意識をさらに高め、運用体制の見直しに着手し、2024年7月1日から、ボーイング787型機におけるL1/R1ドアを再び2人で担当する運用へと変更しました。この運用変更は、事故後の安全強化の一環として行われたものです。
ニセモノの数値化
効率化のリーダーシップ
鳥取社長の施策は、単なるコストカットではなく、人員不足を解消して運航を維持できたことで、航空業界内外で注目される結果となり、彼女のリーダーシップが一層際立つものとなりました。
社員の不満
効率化の裏では、多くのパイロットや客室乗務員が安全に不安を感じていました。
経営手腕への高評価
コストカットと運行維持の両立という難題を成功させたことで、鳥取社長はJAL内部での評価を一気に高め、社長就任への道を切り開きました。
鳥取社長のリーダーシップ②
有給休暇の活用と協力の呼びかけ
鳥取社長は、特に繁忙期や突発的な事態に直面した際、現場の客室乗務員に対して協力を呼びかけ、有給休暇を一部返上してもらうことで人員不足を解消しました。ただ単に「休暇を返上してほしい」と命令するのではなく、丁寧な説明を行ったと言われていますが、会社の方針にいいなりのイエスマンな客室乗務員だけが昇格のために従う結果となりました。
有給休暇を返上して働いた客室乗務員へは、昇格という道が開け結果として、管理職の多い職場となってしまったと言われています。
労働環境の変化
人員不足の根本的な原因を解消するため、JAL全体で労働環境の改善に取り組みました。鳥取社長が進めた主な施策には以下が含まれます:
柔軟な働き方の導入
従業員のワークライフバランスを保つため、リモートワークやフレックスタイム制の導入を進め特に本社勤務者)、人材の流出を防ごうとしました。さらにシステムのデジタル化や、業務プロセスの再構築を行い、作業負担を軽減しました。
人材確保への取り組み
人手不足を根本的に解消するため、採用活動を積極的に行いましした。
新卒採用と中途採用の強化
航空業界の人員不足は深刻なので、多様な人材の受け入れ、再雇用の募集もしています。
また地域雇用の促進のため、地域住民を対象とした採用活動を強化し、地元採用を増やすことで、地域と密接に連携しつつ、必要な人材を確保しました。
社内のモチベーション向上
感謝と表彰
協力してくれた従業員に対し、感謝を示す機会を設け、優秀な従業員を表彰する制度を活用し、貢献した人材の努力を可視化。
危機管理体制の構築
予備人員の確保
繁忙期や緊急時に対応できるよう、予備の人員を確保する体制を整え、一部の社員をクロストレーニング(複数の職種を学ぶ訓練)することで、柔軟な配置転換を可能にしました。
まとめ
鳥取三津子社長は、787の安全要員を1人減らすという安全を軽視した方法を現場に押し付け、人員不足という課題に対して、「休暇返上」させたことに、議論を呼び、働き方改革の観点からは今後の改善が必要とされています。
この記事の内容はネット上の情報をもとに作成したものなので、実際の出来事とは違う部分があるかもしれないことを、ご了承ください。
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