特定口座における損益通算と確定申告について

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特定口座の損益通算

特定口座(源泉徴収あり)では、1月1日から12月31日までの1年間の取引を自動的に損益通算します

これにより、同一口座内での株式や投資信託の売買損益、配当金などが自動的に計算され、税金が調整されます。

具体的事例

特定口座(源泉徴収あり)での損益通算について、100万円投資した場合

利益が20万円の場合

1. 投資額: 100万円
2. 売却額: 120万円
3. 利益: 20万円

この場合、20万円の利益に対して自動的に税金が計算されます。
– 税率: 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
– 納税額: 20万円 × 20.315% = 40,630円

特定口座(源泉徴収あり)では、この40,630円が自動的に源泉徴収され、残りの159,370円が投資家の手元に残ります。確定申告は原則不要です。

損失が20万円の場合

1. 投資額: 100万円
2. 売却額: 80万円
3. 損失: 20万円

この場合、20万円の損失が記録されます。同じ年内に他の取引で利益があった場合、自動的に損益通算されます。

例えば、同じ特定口座内で別の株式で10万円の利益があった場合
– 損失: 20万円
– 利益: 10万円
– 差引損失: 10万円

この場合、10万円の利益に対して徴収された税金(約20,315円)が還付されます。残りの10万円の損失は、翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます。

特定口座(源泉徴収あり)では、これらの計算が自動的に行われるため、複雑な計算をする必要がありません。ただし、複数の証券会社の口座間での損益通算や、損失の繰越控除を行う場合は確定申告が必要となります。

NISAでの取引の損益通算

NISAは非課税口座であるため、特定口座とは異なり、損益通算の仕組みが適用されません。

非課税取引

NISA口座での取引はすべて非課税となり、利益が出ても税金がかからず、損失が出ても税制上の損失とみなされません。

損益通算ができない

NISA口座で発生した損失は、一般口座や特定口座の利益と損益通算することができません。

具体例

NISA口座で30万円の損失が出て、特定口座で50万円の利益が出た場合、NISA口座の損失は考慮されず、特定口座の50万円全額に対して課税されます。

繰越控除ができない

NISA口座で発生した損失は、翌年以降に繰り越して控除することもできません。

非課税メリットを活用するために

NISA口座では利益に対して非課税となるため、値上がりが期待できる銘柄や、配当利回りの高い銘柄を保有するのに適しています。

まとめ

NISAや特定口座でオルカンやSP500の積立投資だけを行う場合、他の取引を行っていないなら、損益通算について最終的な出口まで考える必要はありません。

NISA口座での積立投資

– 利益が非課税のため、損益通算の必要はありません。

特定口座での積立投資

– 長期的な視点で運用するため、短期的な損益変動は気にする必要が少なくなります。
– 最終的な売却時に利益が出ていれば課税対象となりますが、それまでは損益通算を考慮する必要はありません。

注意点

– 途中で一部売却する場合や、運用方針を変更する場合は損益通算を考慮する必要が出てくる可能性があります。したがって、純粋な積立投資で長期運用を行う場合、日々の損益通算を気にする必要は少ないですが、投資環境の変化や個人の事情に応じて、適宜検討することが賢明です。

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