今でも多くの子供や女性が人身売買されている現状を知っていますか?
実は、世界には4,030万人の人が犠牲になっているのです。
なぜなら臓器売買、性的搾取、強制労働などで、多くのお金が動くからです。
この記事では、飛行機内で人身売買を摘発した事例を紹介しています。
この記事を読むとCAが人身売買のための講習をうけていることがわかります。
人身売買とは
UNODCが2003年に人身売買のデータ収集を開始して以来、その数は年々増え続け、現在4,030万人の人が犠牲になっています。
また1年間に250万人犠牲になっているので、12秒に1人のペースで被害者が増えているとも言えます。
被害者のうち、25%は子どもで、70%は女性です。
被害の価格
人身売買の世界の被害額は、1年間で、3兆4,100億円です。
バチカン市国の国家予算が300億円なので、その10倍以上のお金が取引されているのです。
そのお金の為に、被害者の心と体は、ボロボロになるまで搾取され続けます。
CAの役割
出典:ORICON NEWS
世界中のCAは、2009年から「エアライン・アンバサダーズ」という非営利団体に協力し、人身売買の被害を減らすための講習や訓練を受けています。
エアラインアンバサダーズとは
誘拐などによる人身売買を発見し、阻止する方法を、航空業界向けにトレーニングすることを目的とした非営利団体のことです。
講習
私たちCAは、人身売買の被害者を、救うことができる最後の砦なのです。
しかし、弱い立場の子供や女性を救うためとはいえ、CAが自力で被害者を助け出すことは、被害者とCA自身の身を危険にさらす恐れがあります。
そのため以下のことを注意しています。
注意点
- 当事者を問い詰めるなど対決姿勢をとらない。
- 過剰に心配する様子を見せない。
- パイロットに連絡し、到着地の空港警察へ通報してもらう。
このことで被害を最小限に抑えられるのです。
CAは、過去の事例を取り上げながら、自分なら何ができるかをシミュレーションしてフライトしています。
被害者の特徴
被害者の特徴
- 自分の行き先を知らない。
- 不安そうにしている。
- 質問されると、決められた定型文でしか答えない。
- 目的にふさわしくない服装をしている。
- 話しかけると同行する大人が代わりに答える。
- 同行者が、常に子どもを見張っている。
- 同行者が子どもの個人情報を知らない。
- 警察など制服姿の人に脅える。
不審な点が多いのです。
では、実例を見ていきましょう。
実例
米アラスカ航空のCA
出典:BBC NEWS JAPAN
CAのシリア・フェドリックは、服装の乱れた少女が、身なりの整った男の隣に座っているのを見て心配になり、少女に話しかけたところ、同行している男が、かたくなに遮ったのです。
10代の少女は、まるで地獄を経験しているような様子だったので、フェデリックは、少女にトイレへ行くよう耳元で伝え、トイレの中の鏡にポストイットを貼り付けて、もし助けが必要なら教えてと伝えたのです。
すると少女が、「助けてほしい」と書き残したことから、人身売買の被害者だと確信し機長へ報告したのです。
機長が空港警察へ通報し、到着地には警察が待ち受け、人身売買の被害を未然にくい止めることができたのです。
カリフォルニアの地上係員
カリフォルニアのサクラメント国際空港で起こった事件は、チェックインカウンターの地上スタッフが、15歳と17歳の2人の少女の様子がおかしいことに気付いたことで発覚しました。
少女たち
- 自分たちの身分証明書を持っていない。
- ニューヨーク行きファーストクラスの片道チケットを持っている。
- 未成年だけで、同伴者がいない。
少女たちは、「週末ニューヨークでミュージックビデオの出演に協力してくれたら、1人に25万円ずつ支払うよ」と言われた、と喜んでいるのです。
相手の男とはインスタグラムで知り合い、帰りのチケットは後で用意するから、と言われ、飛びついてしまったのです。
そこで、地上スタッフは、2人の少女の搭乗を拒否し、警察へ連絡したのです。
空港で警察官がチケットの利用履歴を確認すると、クレジットカードを不正に利用していることがわかったのです。
監視カメラ
ゲートから入ってきた警察官によって男たちは逮捕され、4才の少女は助け出されて母親の元に戻されました。
最後に
出典:国際連合広報センター
今でも、臓器売買、性的搾取、強制労働を強要するために暴力や脅迫、誘拐、詐欺によって、移動させられる被害者を機内で発見される事例が相次いでいます。
男の鞄の中から、生後6日の赤ちゃんが見つかったケースや、性的搾取のため誘拐され、薬漬けにされ、虐待された13才の少女は、保護された後、飛行機で故郷へ戻ることができたのですが、15才で自殺してしまったケースなど、悲しい現実が繰り返されているのです。
SDGs
出典:SDGsジャーナル
「誰一人取り残さない」という原則は、貧困や飢餓に苦しむ人が、とても多いので、効率的に援助を受けることができるようにしようという考え方です。
誰一人とり残さない社会とは
すべての人が、差別されることなく、暴力を受けることなく、災害や紛争に苦しむことなく、安全で安心な生活を送り、同じ立場で公正に話し合い、助けあうことができる社会
紛争や災害で、5億3,500万人の子どもが不安定な暮らしをしているということは、世界の子どもの4人に1人が苦しんでいるということなのです。
世界中で2億6,400万人の子どもが学校に通えていません。
私たちCAにできることは、飛行機で先進国からの支援物資を途上国へ運び、機内では、人身売買や薬物などの犯罪を未然に防ぐことだと思っています。
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