JAL(日本航空)の最新経営状態分析(2025年3月期 第3四半期決算より)

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 JALの経営状態

JAL(日本航空)の2025年3月期第3四半期決算は2025年2月4日の15時30分に発表されました。この決算発表では、2024年4月1日から2024年12月31日までの期間における経営状態が分析されています。

  • 売上収益: 1兆3,859億円(前年比+10.9%増)

  • EBIT(利息税引前利益): 1,442億円(前年比+11.9%増)

  • 純利益: 910億円(前年比+6.0%増)

ここで、第3四半期単独では、再上場後最高益となるEBIT 585億円(前年比+55%)を記録していることと、国内線搭乗率: 82.9%、国際線搭乗率: 84.3%ということで、JALグループは、この決算結果について、事業構造改革が着実に進展しており、通期業績予想の達成に向けて順調に推移していると評価しています。

(1) 収益状況

  • 売上収益:1兆3,859億円(前年同期比 +1,365億円)
    • フルサービスキャリア(JAL本体):1兆953億円
    • LCC事業:773億円
    • マイル・金融事業:1,510億円
    • その他事業:159億円
  • 営業利益:1,253億円(前年同期比 +124億円)
  • 四半期純利益:943億円(前年同期比 +77億円)
  • 国際線・国内線の旅客需要回復が売上増加の要因

(2) 負債と資本

  • 負債総額:1兆7,727億円(前年同期比 +717億円)
  • 純資産:9,879億円(前年同期比 +293億円)
  • 自己資本比率:35.7%(前年同期比 -1.2%)
    → 負債が増加し、自己資本比率が若干低下

内部留保(利益剰余金)

  • 利益剰余金:3,596億円(前年同期比 +500億円)
    • 経営破綻後の再建を経て、利益剰余金を着実に増加させている
    • しかし、航空業界の特性上、設備投資(航空機購入)や燃料費増加により流動資金が必要

人件費

  • 人件費:2,675億円(前年同期比 +300億円)
    • 航空業界の人手不足を受け、給与の増加や新規採用のコスト増加が影響
    • LCC事業拡大に伴うパイロット・CAの増員が主な要因

 使える余剰資金(キャッシュフロー)

  • 営業キャッシュフロー:1,363億円(前年同期比 +94億円)
  • フリーキャッシュフロー:△222億円(前年同期比 -67億円)
    • 設備投資(航空機購入)で大きな支出が発生
    • 燃料価格の変動リスクもあり、流動資産の確保が課題

経営上の問題点と解決策

 問題点

  1. 人員不足(特にパイロット・整備士・CA)
    • コロナ禍での人員整理の影響で復活需要に対応できていない
    • 競合LCCとの人材獲得競争が激化
  2. 燃料価格と円安の影響
    • 燃料価格が高止まりし、収益圧迫
    • 円安の影響で海外運航コスト増加
  3. 設備投資負担
    • 新規航空機導入で資本支出が増加
    • 最新機材導入で燃費効率を上げる必要あり

解決策

  1. 人材確保と育成
    • 給与・待遇改善(人件費 +200億円 見積)
    • パイロット・整備士の養成強化(研修費 +100億円)
    • 外国人労働者の積極採用(国際競争力強化)
    • 副業・兼業の促進(柔軟な働き方の導入)
  2. 燃料コスト対策
    • 長期燃料契約の締結(価格変動リスクの低減)
    • 最新型航空機の導入(燃費向上)
  3. 設備投資の抑制
    • リース活用(資本支出を抑える)
    • 中古機の活用(新規購入を抑えつつ運航維持)

人員不足解決のための資金

  • 追加投資額:約300億円(給与・研修・採用コスト)
  • 財源確保方法
    • 利益剰余金の一部活用(500億円のうち300億円を人材投資)
    • 余剰資金(営業CF 1,363億円)から投資を調整
    • 長期借入の活用(低金利ローンで人材育成資金を調達)

結論

  • JALの経営は回復傾向だが、燃料費・人員不足・設備投資負担が課題
  • 内部留保を活用しつつ、人材確保・燃料対策・設備投資の最適化が必要
  • 人員確保には300億円程度の追加資金を確保し、待遇改善・採用強化を進めるべき

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