朝倉氏の主張を整理すると、現在の日本は「政府・日銀が公表する見通し」と「冷徹な経済の現実」が完全に乖離した**「構造的インフレ」**の状態にあると言えます。
ご提示いただいた内容を、データと数字を交えて5つのポイントで詳細に解説します。
1. 「2%」という数字の虚構(体感インフレとの乖離)
日銀は「物価上昇率は2%程度に落ち着く」という見通しを出し続けていますが、朝倉氏はこれを否定しています。
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日銀の予想: 消費者物価指数(CPI)を基準に2%前後を予測。
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現実の数字: 2023年のCPI上昇率は3.1%(41年ぶりの高水準)。
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政府の抑制策: 本来の数字はもっと高いはずですが、政府は多額の補助金で「数字」を低く見せています。
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ガソリン代: 補助金がない場合、市場価格は200円/L以上になると試算されますが、現在は170円台に抑えられています。
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電気・ガス代: 標準的な家庭で月数百円〜数千円規模の補助が投入されています。
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結論: 補助金で無理やり抑え込んだ状態での「2%台」は、実態を反映していません。補助金が終われば、一気に跳ね上がるリスクを孕んでいます。
2. インフレの質の変化(「輸入」から「国内」へ)
初期のインフレは原油高などの「コストプッシュ型」でしたが、現在は国内要因の「構造型」に移行しています。
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人手不足と賃金: 有効求人倍率は高い水準を維持し、2024年の春闘での賃上げ率は平均**5.10%**と33年ぶりの高水準を記録しました。
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供給力の不足: 農業(米不足など)や物流(2024年問題)において、担い手の高齢化により「モノを作る・運ぶ力」自体が減っています。
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計算: 需要(お金を配る) > 供給(人手不足でモノがない) = 物価上昇は止まらない。
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不可逆性: 原油価格は下がりますが、一度上がった「人件費」や「家賃」は簡単には下がりません。これが朝倉氏の言う「二度と収まらない」の正体です。
3. 金利差による「円の目減り」の加速
日銀が利上げを渋っている間に、円の価値は他国通貨に対して相対的に沈んでいます。
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実質金利のマイナス:
実質金利 = 名目金利(日銀の政策金利 0.25\%) – インフレ率(約3\%) = -2.75円で貯金をしているだけで、毎年実質的に約3%ずつ資産が目減りしている計算になります。
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日銀の限界: 日銀が1%まで利上げするのに半年〜1年かかるとすれば、その間のインフレ加速スピードに追いつけません。
4. 「名目成長」という錯覚
株価が上がっているのは、日本の経済が強くなったからではなく、**「お金の価値が下がったから」**という側面が強いと指摘されています。
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名目GDPの増大: 値段が上がれば、売るモノの数が同じでも売上(GDP)は増えます。
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企業の利益構造: 企業はコスト上昇分を価格転嫁(値上げ)しており、その分、利益の「数字」は増えます。
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株価の性質: 株や金(ゴールド)は「インフレに強い資産」です。通貨価値が下がるほど、それらの価格は上昇します。
5. 悪循環のループ(補助金の罠)
政府がインフレ対策として行う「給付金・補助金」が、皮肉にもさらなるインフレを招いています。
| 段階 | 状況 | 政府の対応 | 結果 |
| 1 | 物価が上がる | 補助金・給付金を配る | 国民は一時的に助かる |
| 2 | 通貨供給量が増える | 需要が維持される | さらに物価が上がる要因になる |
| 3 | 数ヶ月のタイムラグ | 物価がさらに上昇 | 国民が再び苦しむ(振り出しに戻る) |
総括:今すぐ考えるべき対策
朝倉氏の主張をデータ的に解釈すると、**「現金(円)をそのまま持っていることが最大のリスクになる」**という結論に至ります。
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資産防衛: 円安・インフレに強い「外貨」「株式」「実物資産(金など)」へのシフトが、かつてないほど重要になっています。
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自己防衛: 政府の「物価は落ち着く」という言葉を鵜呑みにせず、生活コストが恒久的に上がる前提での家計設計が必要です。

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