グンゼ(3002)高配当株チェックリスト判定

スポンサーリンク

1. グンゼ(3002)高配当株チェックリスト判定

ご指定の基準に照らし合わせた結果です。

項目 数値(実績・予想) 判定 備考
利回り(税引前) 4.66% 3.75%を大きくクリア。非常に魅力的。
PBR 1.36倍 0.5~1.5倍の範囲内。割高感はない。
配当政策 明確(DOE採用) 自己資本配当率(DOE)を意識した還元姿勢。
売上高 1,300~1,400億円 長期で見ると横ばい。成熟企業の様相。
営業利益率 4.81% × 目標10%には届かず。繊維業界特有の低さ。
EPS・BPS BPSは右肩上がり 資産(お菓子)は着実に増えている。
自己資本比率 74.6% 50%を大幅超過。鉄壁の守り。
流動比率 約350%超 200%を余裕でクリア。倒産リスクは極低。
キャッシュフロー 営業CF黒字維持 本業でしっかり現金を稼げている。

2. 三つの投資哲学による分析

① ウォーレン・バフェット的視点(「堀」と「ROE」)

バフェットは「消費者独占型」の企業を好みます。

  • メリット: 「グンゼ」という圧倒的ブランド(インナーウェア国内首位)は強力な「堀(モート)」です。また、近年は医療機器(生体吸収性材料)など高付加価値分野へシフトしています。

  • 懸念点: ROEが5.27%(25/03実績)と、バフェットが好む15%以上には遠いです。ただし、低PBR・高自己資本の「シケモク投資(割安株投資)」としては合格点です。

② こびと株的視点(「配当の継続性」と「安全性」)

  • メリット: 自己資本比率74%超、有利子負債も少なく、財務の健全性は「こびと(金の卵を産む鶏)」として非常に優秀です。不況でも配当を出す体力が十分あります。

  • リスク: 26/03期の予想EPS(50.01円)に対し配当予想が216円となっており、配当性向が100%を大幅に超える計算です(画像7枚目参照)。これは利益ではなく「資産を切り崩して出している」状態なので、この配当水準が永久に続くかは慎重に見る必要があります。

③ 両学長的視点(「高利回り」と「分散のパーツ」)

  • メリット: 利回り4.6%超は、ポートフォリオの平均利回りを押し上げる「攻撃力」として優秀です。ディフェンシブなセクター(繊維・衣料)として、景気敏感株のヘッジになります。

  • デメリット: 1銘柄に集中しすぎないことが学長の鉄則。グンゼは「セクター:繊維製品」の1枠として、全体の3%以内に収めるのが理想的です。


3. リスクとリターン、メリット・デメリット

メリット

  1. 圧倒的な財務基盤: 倒産を心配する必要がほぼないほどの安定感。

  2. 株主還元の強化: DOE(自己資本配当率)の導入により、利益が一時的に減っても減配しにくい構造へ。

  3. BPSの成長: 1株あたりの解散価値(あなたの分け前)が年々増えているため、下値が硬い。

デメリット

  1. 収益性の低さ: 営業利益率が低く、爆発的な成長(株価2倍など)は期待しにくい。

  2. タコ足配当のリスク: 利益を上回る配当を出している時期があり、将来的に「記念配当の剥落」や「配当維持のための資産売却」が限界に来る可能性がある。

グンゼは、ポートフォリオにおける**「鉄壁の守備担当(ディフェンシブ枠)」**として非常に優秀です。

  • 具体的な考え方:

    現在の株価4,635円は、PBRで見ても妥当な水準です。一気に買うのではなく、*「30~80銘柄への分散」**の一つとして、全体の配当金の3%以内(100万円投資しているなら3万円分など)に留めて保有するのが最も賢明な判断と言えます。

チャートに頼らず「事業の質」を見るかおるさんのスタイルなら、グンゼの「堅実さ」は相性が良いはずです。ただ、直近の利益(EPS)が予想で大きく下がっている点は、決算短信などで「なぜ利益が減るのか?(一時的な要因か?)」を確認することをお勧めします。


1. セグメント情報:収入源の分散と安定性

グンゼは「パンツの会社」から「高機能素材・医療の会社」へと華麗にトランスフォーム(変身)を遂げています。

  • アパレル事業(売上比率:最大): 圧倒的な国内シェアを誇るキャッシュカウ(現金創出源)ですが、利益率は低めです。

  • 機能ソリューション事業(利益の柱): プラスチックフィルムや電子機能材。セグメント別利益率が高く、営業利益の半分以上を稼ぎ出すこともあります。

  • メディカル事業(成長エンジン): 生体吸収性材料など、参入障壁が極めて高い分野で高い利益率(約18%以上)を維持しており、将来の安定収益源として期待大です。

  • ライフクリエイト事業: 不動産開発(工場跡地の再開発)やスポーツクラブ。含み益のある不動産は「隠れた安全資産」として機能しています。

【分析】: 単一事業ではないため、アパレルが不調でも機能材や医療でカバーできる**「分散の効いた収益構造」**と言えます。


2. 競合優位性と参入障壁

  • メディカル分野の「高い壁」: 手術用縫合糸などの医療機器は、薬機法承認や高度な生産技術が必要なため、新規参入が非常に困難です。これはバフェットの言う「経済的な堀(モート)」に該当します。

  • 機能ソリューションの「技術優位」: 包装フィルムなどの高度な加工技術は、ワコールやアツギといった「繊維専門」の類似企業にはない強みです。

  • ブランドの信頼性: 国内男性下着1位というブランド力は、安価なPB商品(プライベートブランド)に対抗する「目に見えない資産」です。


3. リスク分析:地政学・為替・トランプ関税

「安全運行」のために避けて通れない3つのリスクです。

① 地政学リスク(チャイナ・リスク)

  • グンゼは中国、ベトナム、インドネシアに拠点を持ちます。

  • 懸念点: 中国での生産・販売比率がある程度あるため、米中対立の激化によるサプライチェーン断絶リスクはゼロではありません。ただし、生産拠点の東南アジア分散を進めている点は評価できます。

② 為替リスク(円安はデメリット)

  • アパレル事業: 原材料の綿花などは輸入に頼るため、**「円安=コスト増」**となり利益を圧迫します。

  • 輸出事業: メディカルや機能材は輸出も多いため、円安がプラスに働く側面もあります。

  • 結論: 全体としては輸入コストの影響が大きく、急激な円安は短期的にはネガティブに作用しやすい体質です。

③ トランプ関税リスク(関税2.0への備え)

  • トランプ政権による対米輸出関税の引き上げが懸念されます。

  • 影響: 機能ソリューション事業(フィルム等)が米国向け輸出を行っている場合、コスト競争力が低下するリスクがあります。

  • 回避策: グンゼは米国にも現地法人(Gunze Plastics & Engineering Corp. of America)を置いており、現地生産・現地消費の体制をどこまで構築できているかが、関税を回避する鍵となります。


4. 財務安定性

バフェット・コードの数値が示す「守りの硬さ」は一級品です。

  • 自己資本比率 68.9%: 繊維業界の中でも群を抜く高さで、実質的に「無借金経営」に近い安全性です。

  • ネットD/Eレシオ: マイナス圏で推移しており、手元資金が負債を上回る「キャッシュリッチ」な状態です。

  • 配当の質: 利益を超えた配当(配当性向100%超)は気になりますが、DOE(自己資本配当率)を採用しているため、一時的な赤字でも減配しにくい「株主重視」の姿勢が鮮明です。

グンゼは、**「不景気の荒気流でも墜落しない、重厚な機体(バランスシート)」**を持っています。

  • 優位性: 医療・機能材へのシフトが成功しており、ただの「衣料品メーカー」ではありません。

  • 注意点: トランプ関税や為替の動向によっては、利益(EPS)が一時的に乱高下する可能性があります。

「利回り4.7%」という数字は、この財務の健全性を考えると、非常に魅力的な「ファーストクラスのチケット」に見えますね。ただし、PERが92.7倍(または67.4倍)と異常に高く出ているのは、今期の純利益が一時的に低いためで、「実力ベースの利益」が来期以降戻ってくるかを注視する必要があります。

結論

1. 「売上高が長期右肩上がり」ではない

  • チェックリストの基準: 売上高が長期的に上昇していること。

  • グンゼの実績: 過去15年以上にわたり売上高は1,300億〜1,400億円台で横ばい、あるいは緩やかな減少傾向にあります。

  • 判断: 「成長のない成熟企業」よりも、少しずつでも市場を広げている企業。グンゼはこの第一関門で「停滞」

2. 「営業利益率 10%以上」に届かない

  • チェックリストの基準: 売上高営業利益率 10%以上。

  • グンゼの実績:営業利益率は4.81%〜5%程度です。

  • 判断: 営業利益率が低いということは、本業での競争力が弱いか、コスト構造が重いことを意味します グンゼの収益性は物足りないと判断されます。

3. 「EPS(1株あたり利益)の増加傾向」が不安定

  • チェックリストの基準: EPS・BPSが増加傾向であること。

  • グンゼの実績: 「2026/03予」を見ると、EPSが50.01円へと急落する予想となっています。 一方で配当は216円を出す計画です。

  • 判断: 稼ぐ力(EPS)が減っているのに配当だけ維持(または増配)するのは、資産を削って配当を出す「タコ足配当」の状態。これは長期投資を前提とするスタイルでは、非常に危険なサインとされます。

4. 配当性向が「高すぎる」リスク

  • チェックリストの基準: 配当継続力が高いこと。

  • グンゼの実績: 直近の配当性向は100%を超えています

  • 判断: 通常、健全な高配当株は「利益の30〜50%」を配当に回しますが、100%超えは「無理をしている」状態です。DOE(自己資本配当率)を採用しているため「減配しにくい」というメリットはありますが、本業の利益が伴わない配当は、長期的には持続可能ではないと判断されがちです

一言で言えば、**「財務の安全性(防御力)は満点に近いが、稼ぐ力(攻撃力)と成長性が基準に達していないから」**です。

  • 「金の卵を産む鶏」は、鶏自身が成長して大きくなってほしい。グンゼは鶏が少しずつ痩せてきている(利益減)のに、無理して卵を出し続けているように見える。

  • 収益性が低く、将来の増配余力が乏しい。他にもっと効率よく稼いで配当を増やせる「クオリティの高い株」が他にある。

グンゼは「お宝株」というよりは、**「超安定した貯金箱」**に近い存在です。倒産リスクが極めて低いため、ポートフォリオの安定剤としては優秀ですが、チェックリストの「10項目すべてクリア」を目指す彼らの基準からは、どうしても漏れてしまう銘柄といえます。

グンゼは「攻め」ではなく「守り」もし全体を「クオリティ重視」にしたいのであれば、次は**「営業利益率10%超えの優良株」**がいいのでは。

コメント