稲盛和夫氏の指導で生まれ変わったJALの成功の秘訣「JALフィロソフィー」とは – YouTube
この記事は、2010年に経営破綻したJALが、わずか2年で史上最高の営業利益を上げ、再上場を果たしまし、高い営業利益と利益率を維持した理由を書いています。
この記事を読むと京セラの稲盛和夫氏がJALの社員に徹底的に教育したJALフィロソフィーがバラバラだった社員の心を一つにしたキッカケとなったことがわかります。
経営破綻からの驚異的な復活
JALが経営破綻したのは、2010年1月で、このニュースは社会に大きな衝撃を与えましたが、その後わずか2年で、JALは史上最高の営業利益を計上し、再上場を果たしました。
2017年3月期のグループ連結売上高を例に挙げると、1兆2889億円で営業利益は1703億円航空会社としてもハイレベルです。
破綻後に人件費の削減、不採算路線から撤退するなど、厳しい構造改革が理由になっていますが、会社が生まれ変わった、と言っても過言ではありません。
サービスの内容
顧客満足度調査「JCSI調査」で、国際航空部門の「ロイヤリティ(再利用意向)」は5年連続、「顧客満足」でも第1位を獲得し、リクルートライフスタイルの「エイビーロード・リサーチ・センター」が実施した国際線エアライン満足度調査でも、調査開始以来、始めて総合満足度1位になりました。
そして「客室乗務員の接客サービス」部門1位、「空港の航空会社職員の接客サービス」部門でも1位となり、サービス面での評価が目立ちます。
サービス力の向上の要因となったもの
京セラ創業者、稲盛和夫氏のもとで JALの破綻後に大きく変わったものは、教育への取り組みです。
厳しい経営環境の中で、社員教育への投資を熱心に行いました。
働くスタッフのモチベーションを変えたことが会社が変化したキッカケとなりました。
教育の中心にあったものが「JALフィロソフィ」といわれる行動規範です。
JALの再生をリードしたのは、京セラ創業者の稲盛和夫氏で、彼は、破綻したJALの課題として「意識の改革」をあげました。
リーダー教育を行う一方、全社員の意識改革のために「 JALフィロソフィ」という40項目ある会社の指針を示しました。
稲盛氏のリーダー教育に参加していた52人は、運航、整備、客室、空港、貨物など現場の各部門からそれぞれ10人で、京セラからのアドバイザーも加わり、毎日のように教育が行われていきました。
そして彼らによって作成されたJALフィロソフィーは、現場の各部門のリーダーが中心となって作られただけに、現場に即したものになっています。
経営の考え方からリーダーの行動、現場のサービスに至るまで、JALのベースになっているます。
自分たちの行動や体現したものが、JALフィロソフィのどこに結びついているのか、常に経営陣や社員は考えるようになっていきました。
JALフィロソフィの内容
JALフィロソフィは、40項目からなり、それぞれがJALの経営やサービス、社員の行動に影響を与えています。
ここでは、第1部の第1章から第3章まで紹介します。
第1部
すばらしい人生を送るために
第1章
成功方程式
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
第2章
正しい考え方を持つ
人間として何が正しいかで判断する
美しい心をもつ
常に謙虚な素直な心で 常に明るく前向きで
小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり
土俵の真ん中で相撲をとる
ものごとをシンプルにとらえる
対極をあわせもつ
第3章
熱意をもって地味な努力を続ける
真面目に一生懸命仕事に打ち込む
地味な努力を積み重ねる
有意注意で仕事にあたる
自ら燃える
パーフェクトを目指す
教育と浸透
JALでは、このフィロソフィを全社員に浸透させるために、教育プログラムが設けらおり、年3回、全社員がこの教育を受けています。
その内容は多岐にわたり、フィロソフィー手帳の中からの文言について社員同士で話し合うこともあります。
最初は、これをベースに行動することで、本当に会社や仕事が大きく変わるのか?と疑問視する社員も多くいました。
特に年配の人たちは、「これは洗脳だ」「これは宗教みたいなものだ。だまされるな」と反発する人もいました。
道徳的な考えや、子どもに教えるような当たり前のことを学ぶことは時間の無駄だと考える社員がいる中、普通のことができていなかった、と教育を通じて、感じることができるようになっていき、社内の空気が変化していきました。
自分自身が人間として「本当にきちんと」できているかどうか、考えさせられ、フィロソフィ実践のために、どんな仕事の仕方や考え方をすればいいか、と考える時間を設けたことで浸透していきました。
結果としてのサービス向上
JALフィロソフィが、JALのサービスレベルを大きく向上させ「マニュアルのないサービス」ができたと言われています。
地道な社員教育によって浸透させていく「JALフィロソフィ」のために1項目を「今日の目標」に設定して、具体的に自分は何ができるかを現場で実践していくグループが増えました。
今もなお、「JALフィロソフィ」を学ぶ教育が行われ、グループ全社員が年3回受講しています。
JALグループの社員は36,039人の中には、海外のスタッフや外部委託している国内空港のスタッフも学んでいます。
フィロソフィの項目ごとにテーマは毎回変わり、これについて2時間、チームに分かれて討議を行い、稲盛氏の講演、社長のコメント紹介、さらにはディスカッションやワークシート記入など、内容は多岐にわたっています。
参加者は、役員から新入社員まで階層も職種もその都度バラバラで、5名程度のグループで真剣に教育と向き合うことで、JALのサービスレベルが向上したと言えるでしょう。
最後に
JALの成功は、単なる構造改革やコスト削減だけではなく、稲盛和夫氏が導入した「JALフィロソフィ」による「意識の改革」によってもたらされました。
このフィロソフィは、JALを単なる航空会社から、顧客から高い評価を受ける企業へと変貌させたのです。
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