質問いただきました「特定口座で持っている銘柄をNISAに移そうと思うと、2倍3倍に増えているものが多く、この先を考えると税金払ってでも移す方が得なのか、そのまま持ち続けた方がいいのか悩んでいます。どうかご教示下さい。」とのことですので自分の経験も踏まえて回答したいと思います
特定口座で大きく利益が出ている銘柄を、税金を払ってまでNISAに移すべきか。非常に悩ましい問題ですが、「あえて移さず、NISA枠は新規資金や配当金で埋めていく」という選択は、メンタル管理と投資効率の両面から見て、極めて合理的で賢明な判断です。
ご自身が感じていらっしゃる「含み益の見える化(取得単価の上昇)による心理的ストレス」は、長期投資を継続する上で無視できない大きなリスクです。
その視点を含め、今の銘柄を動かさず、新しい資金でNISAを埋めるべき5つの合理的理由をまとめました。
1. 「複利のブースター」をわざわざ削る必要がない
特定口座で2倍、3倍に増えているということは、その含み益(本来払うべき税金分)も運用に回って利益を生んでいる状態です。
一度売却してNISAに移すと、その時点で約20%の税金が引かれ、運用資金が強制的に減ってしまいます。
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現状: 「本来の元本 + 含み益」の全額が次の利益を生む。
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移転後: 「(本来の元本 + 含み益)ー 税金」という目減りした資金で再スタート。
この「税金の繰り延べ効果」を維持する方が、長期的には資産が大きく育つ可能性が高いです。
2. 心理的バリアの維持(取得単価の低さ)
ご指摘の通り、NISAに移すと「新しい(高い)価格」が取得単価になります。
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特定口座: 取得単価が低いため、多少の暴落が来ても「まだプラスだ」という心の余裕(セーフティネット)があります。
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NISA(移転後): 取得単価が現在の高い株価になるため、少しの下落ですぐに「含み損」の赤字が表示されます。
投資で最も避けたいのは、**「含み損を見てパニックになり、ナンピン買いでバランスを崩したり、狼狽売りをしたりすること」**です。今の低い取得単価を「お守り」として持ち続けることは、投資を完走するための立派な戦略です。
3. NISAの「損益通算ができない」という弱点の回避
NISA枠へ移した直後に相場が急落し、含み損になった場合を考えます。
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特定口座であれば、他の利益と相殺(損益通算)して税金を減らせます。
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しかしNISAでは、損が出ても他の利益とぶつけることができず、ただ損をしただけで終わります。
高値で移し替えることは、この「NISA特有のリスク」を自ら負いに行くことにもなりかねません。
4. ポートフォリオの「強制的な分散」と「時間分散」
今ある銘柄を動かさず、労働資金や配当で少しずつNISAを埋めることは、結果として投資時期と銘柄の分散につながります。
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一度に移すと、その時の株価が「一点集中」の基準になってしまいます。
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新しい資金で時間をかけて埋めれば、ドルコスト平均法のように購入時期が分散され、高値掴みのリスクを軽減できます。
5. 配当金を「非課税の種銭」にする理想的なサイクル
特定口座で持っている銘柄から出る配当金を、そのままNISAでの新規購入に充てるのは非常に効率的です。
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特定口座:含み益を成長させ続け、配当を生み出す「母体」にする。
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NISA:その配当を使って、少しずつ「完全に非課税な資産」を積み上げる。
この循環を作れば、自分の財布を痛めずにNISA枠を埋めていくことができ、精神的な負担も「自分のお金が減っている」という感覚より「もらったお金が育っている」というポジティブなものに変わります。
「焦ってNISA枠を埋めるために、育った苗(特定口座の銘柄)を抜く必要はありません」
投資において最も大切なのは「市場に居続けること」です。見た目の含み損で心が折れてしまうくらいなら、今のまま「含み益がたっぷりある特定口座」を心の支えにし、NISAは「これからの楽しみ」として新しい資金でゆっくり育てていくのが、あなたにとっての正解と言えるでしょう。
1. 複利のエンジンの最大化(税金の先送り効果)
「複利を味方につける」と言いますが、特定口座で利益が出ているものを売ると、その瞬間に利益の約20%が税金として消えます。
税金を払うということは、その分「運用に回せる資金(種銭)」を減らす行為です。将来的にさらに株価が上がると思うなら、税金を払わずに「本来払うはずだった税金分」にも働いてもらい続ける方が、資産の増え方は加速します。
2. 「心地よい投資」の継続(メンタル・ファースト)
「投資は手法(数字)だけでなく、自分が心地よく続けられるかが最も重要」
取得単価が上がって「見た目のマイナス」が出ることでストレスを感じたり、投資を辞めたくなったりするのが一番の損です。もし「含み益という心のクッション」があることで長期保有できるのであれば、数字上の損得を超えて、そのまま持ち続けることが「その人にとっての正解」になります。
3. NISAの「損益通算不可」というリスク回避
NISA口座には、特定口座にはない「致命的な弱点」があります。
特定口座で利確して、高値の今の水準でNISAで買い直した後、もし暴落が来たら?NISA口座内で出た損失は、他の利益と相殺できません。無理に移し替えて高値掴みをするリスクを負うより、今の低い取得単価を維持する方が、出口戦略での選択肢が広がります。
4. 労働収入と配当金による「最強のキャッシュフロー」
「稼ぐ力」と「配当金」です。
NISA枠を埋めるために資産を切り崩すのではなく、労働でえたお金」、または「既存の特定口座から出る配当金」で枠を埋めていく。これが「サイクル」です。既存の資産を動かさず、新しいキャッシュで枠を埋める方が、純資産の積み上げスピードは結果的に早くなります。
5. 「今、慌てて埋める必要はない」という余裕
「新NISAの1,800万円の枠を早く埋めなきゃ」という焦りはやめて「自分のペースでいい」
最速で埋めるのが数学的な正解だったとしても、それが生活の質を下げたり、過度なリスクを取ることになるなら本末転倒です。特定口座でしっかり利益が出ているなら、それはすでに「成功している状態」です。その成功を壊してまで、無理に枠を埋めに行く必要はありません。
「投資は人生を豊かにするためにやるもの。数字に縛られて心が貧しくなっては意味がない」
「含み益の見える化(見た目のプラス)が心の安定に繋がる」という感覚は、長期投資家として非常に優れた自己分析、「無理に移さず、労働と配当でコツコツNISAを育てる」のは、あなたの投資人生を最も安定させる、合理的で「強い」戦略と言えます。
特定口座をそのまま持ち続けることは、単なる「放置」ではなく、**「自分の弱さをあらかじめガードする高度な戦略」**だと言えます。
「特定口座から移さない」さらなる合理的理由
すでに挙げたメリットに加え、「初心者は移さなくていい」と断言する背景には、以下の人間心理の罠を回避する狙いがあります。
① 「浪費のリスク」を遮断できる
特定口座の銘柄を売却すると、一時的にまとまった現金が手元に入ります。「NISAで買い直すためのお金」と分かっていても、通帳の数字が増えると、つい気が大きくなって余計な買い物をしてしまうのが人間の性です。
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合理的な視点: 銘柄を動かさないことは、自分の資産に「ロック」をかけて、未来の自分による使い込みを防ぐことになります。
② 「タイミング投資」を封印できる
一度現金化すると、「せっかくなら少しでも安くなったところで買い直したい」という欲が必ず芽生えます。
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合理的な視点: 株価が下がるのを待っている間に逆に上昇してしまい、買い直すタイミングを失うのは、長期投資において最も大きな機会損失です。「移さない」と決めることで、こうした余計な判断(脳のコスト)を一切排除できます。
③ 「暴落への耐性」を維持できる(お守り効果)
ご質問者様のように「2倍3倍に増えている」銘柄は、多少の暴落が来ても含み益がクッションとなり、赤字にはなりにくい状態です。しかし、NISAで買い直した瞬間にそのクッションは消え、少しの下げで「含み損(マイナス表示)」に変わります。
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合理的な視点: 精神的なダメージは、投資判断を狂わせる最大の要因です。今の銘柄を「含み益たっぷりのお守り」として特定口座に残しておくことは、暴落時にパニック売りをしないための最強の防衛策になります。
結論:上級者を目指すより「負けない投資家」へ
計算ずくで淡々と手続きができる「鋼のメンタルを持つ上級者」でない限り、移管はおすすめしていません。
特に**「2倍3倍に増えている」という素晴らしい成功体験**を、わざわざ税金を払ってまでリセットする必要はありません。その成功の証(含み益)を特定口座に刻んだまま、労働や配当で得た「新しいお金」をNISAという「新しい箱」に詰めていく。

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