高額な医療費がかかったときに、自己負担を抑えられる「高額療養費制度」ですが、この制度は「組合健保(健康保険組合)」と「協会けんぽ(全国健康保険協会)」では適用条件や負担額が違うのをご存じですか?
実は、会社の健康保険がどちらに属しているかによって、医療費の自己負担額や補助内容が大きく変わるのです
この記事では、両者の違いをわかりやすく解説します。
自己負担額の差は4倍
例えば、1ヶ月の医療費が100万円かかった場合…
🔹 健康保険組合(健保組合)の場合 → 自己負担: 約2万円
🔹 協会けんぽ(全国健康保険協会)の場合 → 自己負担: 約8万円
なんと、その差は 4倍以上
「同じ医療を受けたのに、支払う金額がこんなに違うなんて…」
では、なぜこんな違いがあるのでしょうか?
健保組合の方が自己負担が安い理由
✅付加給付がある
健保組合では、独自の「付加給付」があり、自己負担額を大幅に軽減!
例えば、大手企業の健保組合では…「1ヶ月の自己負担額は2万円まで」
つまり、どれだけ医療費がかかっても、自己負担は最大2万円で済むことがあるのです。
✅財政的に安定している
健保組合は、大企業や業界団体が運営しているため、企業の財力を背景に手厚い補助が可能です。
✅保険料が安いことも
協会けんぽは全国一律の制度ですが、健保組合は会社ごとに保険料率を調整できるため、保険料が協会けんぽより安くなる場合もあります!
代表的な「健康保険組合」のある有名企業
「どんな会社が健保組合を運営しているの?」実は、以下のような大手企業には独自の健保組合があり、手厚い補助を受けられます
トヨタ自動車(トヨタ健康保険組合)
✅ 自己負担限度額:2万円(付加給付あり)
✅ 健康診断や予防医療も充実
トヨタの健保組合は、付加給付があり、高額な医療費が発生しても自己負担は最小限!さらに、健康診断や生活習慣病予防にも力を入れています。
NTT(NTT健康保険組合)
✅ 自己負担限度額:2万円(付加給付あり)
✅ 人間ドックやフィットネスクラブの補助も
NTTの健保組合も、付加給付が充実!また、人間ドックの補助や、ジムの利用補助があるなど、健康維持のサポートも手厚いのが特徴です。
③ ソニー(ソニー健康保険組合)
✅ 自己負担限度額:2万円(付加給付あり)
✅ 独自の医療サービスや健康相談も利用可能
ソニーの健保組合では、付加給付に加えて独自の健康相談サービスや特定の医療機関と連携したサポートも利用できます。まさに、社員の健康を重視した手厚い制度です
健保組合と協会けんぽの「医療費負担」
項目 | 健康保険組合(健保組合) | 協会けんぽ(全国健康保険協会) |
---|---|---|
自己負担限度額 | 約2万円(付加給付あり) | 約8万円(標準限度額) |
付加給付 | あり(独自の補助で自己負担を軽減) | なし(法律で決められた負担額) |
保険料率 | 会社ごとに調整可能(安く抑えられる場合も) | 全国一律(企業の規模に関係なく統一) |
健康サポート | 充実(予防医療・ジム補助など) | 基本的な健康診断のみ |
注:上記は年収400万円の場合で医療費が100万円かかった場合を想定しています。
✅ 「トヨタ」「NTT」「ソニー」などの大手企業は「健保組合」があり、手厚い補償を受けられる
✅ 協会けんぽでは「付加給付」がなく、自己負担額が大きくなりやすい
「協会けんぽ」
自己負担額が高くなる(最大8万円)
付加給付なしで負担が増える
健康サポートが限定的
高額療養費制度の違い
自己負担限度額の違い
高額療養費制度では、1ヶ月あたりの自己負担額には上限が設定されています。組合健保では、協会けんぽよりも自己負担限度額が低く設定されていることが多いため、結果的に負担が軽くなります。
✅ 2万円~3万円程度で自己負担が抑えられます
一方、協会けんぽでは法律で定められた自己負担限度額(例:8万円~9万円程度)が適用されます。
つまり、同じ医療費がかかっても、加入している健康保険によって自己負担額が大きく異なるのです!
② 付加給付の有無
組合健保には「付加給付」と呼ばれる独自の制度がある場合があります。
✅ 付加給付とは?
→ 法律で定められた「高額療養費制度」に加えて、組合独自の補助を受けられる制度のこと。例えば…「自己負担額が1ヶ月2万円まで」 というような制度を設けている組合もあります!つまり、仮に100万円の医療費がかかっても、2万円程度の負担で済む場合があるのです。協会けんぽにはこの付加給付制度はありません。
③ 保険料率の違い
✅ 組合健保の方が、保険料率を低く抑えられる場合がある!組合健保は、企業や団体が運営しているため、経営状況や財政に応じて保険料率を調整できる場合があります。一方、協会けんぽは全国一律のルールで保険料率が決まるため、調整の自由度は低めです。
④ 健康関連サービスの違い
✅ 組合健保では、健康診断や予防接種などのサービスが充実していることが多い!例えば…無料 or 低額で受けられる健康診断、ジムの利用補助やメンタルケアプログラム、 禁煙プログラムや特定の人向けの医療相談
協会けんぽでも健康診断の補助はありますが、組合健保ほど手厚くないことが多いです。
会社の健康保険が違っても、誰も気にしない理由
意外と知られていないこの違い。なぜ従業員はあまり意識しないのでしょうか?
認知度が低い
✅ ほとんどの人は、健康保険の仕組みを詳しく知らない
→ 「高額療養費制度がある」ことは知っていても、細かい違いまで意識している人は少ない。
選択の余地がない
✅ 会社が決めた健康保険に自動加入するため、自分で選ぶ機会がない
→ どうせ変えられないなら、違いを気にしても仕方がない…と考えがち。
制度が複雑
✅ 「健康保険=難しいもの」と思われがち
→ 「なんとなく加入してるけど、詳しくはよく分からない」という人が多い。
健康な時は気にしない
✅ 「病気やケガをした時」に初めて違いを実感する
→ 普段は関心がなく、実際に医療費がかかる場面になって初めて気づく…。
会社や保険者からの情報提供が少ない
✅ 企業側も、あえて従業員に違いを詳しく説明しないケースが多い
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