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先に結論を書きます。老後の住まいを調べていて私が一番困ったのは、費用の「相場」として出てくる数字に出典がないことでした。そこでこの記事では、公的な統計や介護保険の制度で確かめられる数字だけを残し、出どころがわからない相場の金額は全部落としました。残ったのは、住まいの種類ごとの入居条件と、介護保険でまかなわれる部分と自分で払う部分の線引きです。金額そのものは地域と要介護度と所得でまったく変わるので、私は数字を覚えるのをやめて、どこに聞けば自分の金額がわかるかを押さえる形に切り替えました。
※当ブログは金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受けておらず、特定の施設や金融商品、証券会社の利用を推奨するものではありません。本記事の制度の内容は2026年10月時点のものです。介護保険の自己負担や施設の費用は、要介護度、所得、地域、家族構成で変わります。具体的な判断は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口と地域包括支援センター、保険については加入している保険会社に確認してください。税金の扱いについては税理士や税務署、年金については年金事務所にご相談ください。
老後の住まいは「施設か自宅か」の二択ではありません
調べはじめたとき、私は「元気なうちは自宅、介護が必要になったら施設」という2段階で考えていました。実際に制度を見ていくと、そのあいだに住宅として扱われるものがいくつもあって、入居するときの条件も、お金の出どころも違っていました。
大きく分けると次の4つです。
- 介護保険の施設|特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院。介護保険の施設サービスとして利用します。
- 民間の有料老人ホーム|介護付き(特定施設入居者生活介護の指定を受けたもの)と、住宅型。
- 高齢者向けの住宅|サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウス。住まいを借りて、介護は外部のサービスを使います。
- 自宅で暮らし続ける|訪問介護や通所介護を組み合わせる形。子どもの家で同居する場合もここに入ります。
この4つで、申し込む先も、お金を払う相手も違います。ここを分けずに「老後の施設はいくらかかるか」で調べると、話がかみ合わなくなると思います。
費用の数字をどう扱うか|出典のない相場を全部落とした理由
この記事には以前、施設の種類ごとに「月額利用料の相場は何万円から何万円」「入居一時金の平均は何百万円」という数字が並んでいました。名前の出ている高額な施設の入居金として1億円を超える金額も載せていました。
これらは出どころを私のほうで確かめられませんでした。民間施設の費用は運営している会社ごとに決まるもので、全国平均として示せるような性質のものでもありません。家計の前提にしてもらうわけにはいかないので、金額はすべて取り下げました。
そのかわり、確かめられる場所を書きます。民間施設の費用は各施設の重要事項説明書に載っていて、都道府県や市区町村のサイトで公開されています。介護保険の施設の費用は、要介護度ごとの単位数と自分の負担割合、それに居住費と食費を足して計算します。ここは窓口で自分の数字を出してもらえました。
出典のある数字として残したもの
残したのは次の2つです。どちらも調査の名前と年がはっきりしているものです。
総務省の家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出が月25万円台で推移しています。これは介護の費用ではなく、ふだんの暮らしにかかっているお金です。住まいの費用を考えるときは、この生活費に上乗せされる分として見ることになります。
生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(2021年度)では、介護にかかった費用として次の数字が示されています。
- 住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時的な費用の平均:74万円
- 月々かかる費用の平均:8.3万円
- 介護を行った期間の平均:61.1か月(5年1か月)
この調査は数年ごとに更新されるので、最新の数字は同センターのサイトで確かめるのが確実です。私はこの「平均5年1か月」という期間のほうに驚きました。月々の金額よりも、何年続くかで総額が決まるからです。
介護保険でまかなわれる部分と、自分で払う部分
金額を考える前に、この線引きを押さえておくと話が早くなりました。
介護保険が使える部分|要介護認定を受けると、介護サービスの費用は原則1割の自己負担で使えます。所得に応じて2割、3割になる方もいます。月の自己負担が一定額を超えた場合に戻ってくる高額介護サービス費という仕組みもありますが、上限額は所得の区分で分かれているので、自分の区分は窓口で確かめる必要があります。
介護保険の対象にならない部分|施設に入る場合の居住費(家賃や部屋代)と食費、日常生活費は、介護保険の給付の対象外です。ここが自己負担になります。所得の低い方には負担限度額の認定という軽減の仕組みがあり、これも申請が必要です。
住宅改修と福祉用具にも介護保険の枠があります。手すりの取り付けや段差の解消といった住宅改修は支給限度基準額が20万円で、そのうち自己負担が1割から3割です。福祉用具の購入費には年間の上限が別に設けられています。工事の前に申請しておかないと対象にならないので、順番に注意が必要でした。
介護保険の施設|特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院
介護保険の施設サービスとして使うものです。入居一時金はありません。
- 特別養護老人ホーム(特養)|原則として要介護3以上の方が対象です。社会福祉法人や自治体が運営していて、費用は民間の施設より抑えられています。そのかわり地域によっては待機の期間が長くなります。申し込みは施設ごとですが、窓口で相談できます。
- 介護老人保健施設(老健)|要介護1以上が対象で、リハビリを受けて自宅に戻ることを目的にした施設です。医師の配置があり、医学的な管理のもとで機能訓練を受けられます。長く住み続ける場所ではなく、在宅復帰までの期間を過ごすところという位置づけです。
- 介護医療院|2018年に作られた、医療と介護を一体で提供する施設です。要介護1以上が対象で、医師の配置が義務づけられています。長期の医療的な管理が必要な方の住まいとして想定されています。
民間の有料老人ホーム|介護付きと住宅型の違い
民間が運営するもので、費用は施設ごとに決まります。
- 介護付き有料老人ホーム|都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。食事、入浴、排泄などの介護を施設の職員が提供します。介護サービスの自己負担が要介護度ごとに決まった額になるので、使った量で増えていくことがありません。そのかわり、あまり使わない月でも同じ額がかかります。要介護の方だけを受け入れる介護専用型と、自立している方も入れる混合型があります。
- 住宅型有料老人ホーム|介護は施設ではなく外部の事業者と契約して使います。使った分だけ費用がかかるので、介護が軽いうちは抑えられますが、重くなると上限に当たることもあります。
どちらも入居時に一時金がかかる場合と、月払いだけの場合があります。一時金には償却の期間と初期償却の割合が設定されていて、早く退去したときにどれだけ返ってくるかはここで決まります。私はこの「返還の条件」を、金額よりも先に見るようにしました。
住宅としての選択肢|サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウス、グループホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)|2011年の高齢者住まい法の改正で作られた登録制度で、高齢者向けの賃貸住宅です。バリアフリーで、専用部分は原則25平方メートル以上(共用の設備がある場合は18平方メートル以上も可)、安否確認と生活相談のサービスが必須になっています。介護は外部のサービスを自分で選んで使えます。長期の入院を理由に一方的に解約されない決まりもあります。契約の中身によっては有料老人ホームに該当するものもあるので、登録の内容を見る必要があります。
- ケアハウス(軽費老人ホーム)|自治体の補助が入っている施設で、家庭環境や住宅事情で自宅での生活が難しい方が対象です。所得に応じて費用が決まる仕組みがあります。
- グループホーム(認知症対応型共同生活介護)|認知症の診断があり、要支援2または要介護1以上の方が、少人数の単位で共同生活をする住まいです。原則として施設のある市町村の住民が対象になります。地域密着型のサービスなので、他の市町村から移って入るのは難しい場合があります。
自宅で暮らし続ける場合にかかるもの
経済的な負担はいちばん軽くなりますが、ゼロにはなりません。
- 住宅改修|手すり、段差の解消、引き戸への交換など。介護保険の支給限度基準額が20万円で、自己負担は1割から3割です。それを超える工事は全額自己負担になります。
- 福祉用具|ベッドや車いすはレンタルが中心で、入浴や排泄に使うものは購入です。どちらも介護保険の対象になる品目が決まっています。
- 訪問介護や通所介護|要介護度ごとの支給限度額の範囲内なら1割から3割の負担で、超えた分は全額自己負担です。
- 介護する側の負担|お金に出てこない部分ですが、ここが続くかどうかで在宅を選べるかが決まります。
子どもの家で同居する場合も、リフォーム費用と光熱費の増加分が出てきます。金額は住まいと人数で変わるので、ここも具体的な数字は置きませんでした。
私が自分の老後の住まいについて決めたこと
私は50代で体を壊して国際線の客室乗務員を辞めています。体が動かなくなる状態を一度経験しているので、「元気なまま老後に入る」という前提で計画を立てないことにしました。
決めたのは2つだけです。
- 住まいの形は今決めない。要介護になってからでないと選べる選択肢が確定しないので、今は幅を持たせておく。
- どの形になっても毎月出ていくお金があることだけは確実なので、その部分を配当金で用意していく。
私のやり方はウォーレン・バフェットのやり方を真似しているだけで、良い企業を割安なときに買って長く持つ、決算は自分で見る、わからないものは買わない、という3つです。施設の金額を当てにいくより、毎月入ってくるお金を少しずつ増やしておくほうが、私には考えやすかったという話です。
金額の目安を知りたいときは、まず地域包括支援センターに行くのがいちばん早かったです。無料で相談できて、自分の地域の施設と費用の資料をもらえました。
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住まいの形がどれになっても、毎月出ていくお金があることだけは変わりません。私はその部分を配当金で用意していくことにしたので、1株から買える口座をひとつ用意しておくところから始めました。
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それでは、またお会いしましょう。バフェットかおるでした。


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