✅ 【強み】投資先として魅力的なポイント
① 営業キャッシュフローの圧倒的改善
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2024年3月期:5,992億円(前年比+約74%)
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営業CFマージン:37.41% → 収益の質が非常に高く、キャッシュ創出力は抜群。
これは製薬企業として非常に健全であり、利益の多くがキャッシュに変換されている点は投資家にとって好材料です。
② 自己資本比率が安定・健全
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2024年3月期:47.2%
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近年、自己資本比率はじわじわと上昇。財務の安全性が高い。
③ ROE・ROAが改善傾向
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ROE:12.8%(予想14.8%)
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ROA:5.8%(予想7.0%)
→ 利益効率も改善しており、資本の使い方がうまくなってきている兆し。
④ EPS(1株利益)が大きく上昇
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2024年:104.6円 → 2025年予想:128.4円(+23%)
→ 今後の配当増や株価上昇の期待が持てる。
⑤ 研究開発投資に積極的(長期成長志向)
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2024年:研究開発費3,651億円(予算:4,600億円)
→ モノづくり企業としての将来性に期待。特に次世代抗がん剤に注力中。
⑥ フリーキャッシュフローがプラス
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2024年:+3,166億円 → 設備投資後にもしっかりお金が残っている。 → 配当・自社株買い・新規投資の原資として◎
❌ 【弱み・リスク要因】
① 株価指標がやや割高(成長期待織り込み済み)
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PER:24.72倍
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PBR:3.71倍
→ 業界平均より高め。すでに期待先行で株価が高水準にある可能性も。
② 財務CFが長年マイナス傾向
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2024年:▲1,235億円
→ 自社株買いや借入返済などにキャッシュを使っている=成長投資と見ればポジティブだが、継続には注意が必要。
③ 設備投資と減価償却のバランス
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設備投資:893億円
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減価償却:596億円
→ 設備投資のペースがやや抑え気味。新工場や新設備の大型投資が控えめか。
📈 今後の傾向・見通し
✅ 短期(〜2025年)
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EPS成長+ROE改善 → 株価は堅調に推移する可能性高い。
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営業キャッシュフローの強さ+円高傾向 → 輸入コスト低下で利益押上げ。
✅ 中長期(3〜5年)
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研究開発の成果が鍵(特にがん領域)
→ パイプラインの進捗次第で、株価も大きく動く可能性。 -
海外展開の成果 → アメリカ・欧州での製品販売の伸びに注目。
→ 新薬の承認・上市タイミングで一時的なボラティリティあり。
💡 総合評価:投資妙味は高いが成長前提の“割高株”
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第一三共は、営業キャッシュフローと収益性の面で非常に健全かつ魅力的な企業。
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ただし株価はすでに将来の成功をある程度織り込んでいるため、「割安で拾う」投資スタンスではない。
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成長投資・新薬開発の成功が今後の株価に大きな影響を与える。
🎯 投資家にとっての選択肢
投資スタンス | 判断 |
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安定志向の長期保有 | ◎(高キャッシュフロー・健全財務) |
短期売買で利益狙い | △(バリュエーション高め) |
成長企業への集中投資 | ○(研究開発費+ROE改善) |
📌結論:高収益・高キャッシュフロー・成長志向の「優良株」だが、すでに評価は高め。買うなら「押し目狙い」が理想。
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