【閲覧注意】2460億円が”無”だった…KDDI・ビッグローブ「循環取引」の闇と株価への影響を解説。KDDI株は売りか?買いか?9年間バレなかった「2460億円架空取引」の全貌「循環取引」の手口と倒産の可能性

KDDI、傘下のビッグローブなどで売上高を最大2460億円架空計上の可能性…最大330億円の損失見通しについて解説します

今回の件は、金融の世界で**「循環取引(じゅんかんとりひき)」**と呼ばれる、古くからあるが極めて悪質な手口。


1. どのような不正をやったのか?(手口:メリーゴーラウンド)

彼らがやったのは、**「架空のボール回し」

  1. 架空の発注: ある広告代理店Aが、ジー・プランに「ネット広告を出したい」と嘘の注文を出す。

  2. 架空の受注・発注: ジー・プランはその仕事を受けたことにして、別の代理店Bに「広告を出してくれ」と投げる(下請けに出す)。

  3. 資金の還流: 代理店Bは、また代理店A(またはその仲間)に戻す。

実際には**「広告など1つも掲載されていない」**。

ただ、請求書と契約書だけがグルグル回り、帳簿の上では「売上が立った」ように見せかけていた これを2017年から延々と繰り返していた。

2. なぜ不正をする必要があったのか?(動機:見栄とプレッシャー)

通常、この不正が行われる動機は大きく分けて2つ

  • 動機A:ノルマ(売上目標)の達成プレッシャー

    親会社(ビッグローブやKDDI)から降りてくる「売上目標」が厳しかった可能性。「今月あと1億円足りない」という時、この架空取引を使えば、魔法のように売上が作れる。一度手を染めると、翌年も前年を超えるために嘘を重ね続けなければならなくなる典型的な「粉飾決算」の動機。

  • 動機B:資金の抜取(横領・詐取)

    今回はこちらがメインの可能性が高く 記事には「330億円が流出した」とあり つまり、単に売上を良く見せるだけでなく、**「会社のお金を外部に逃がす」**ことが目的だった可能性がある。

3. 不正をして何が得られたのか?(利益:虚像と実利)

「会社が得たもの」「実行犯(や外部の協力者)が得たもの」**は全く違う。

  • 会社(ジー・プラン/ビッグローブ)が得たもの:【虚像の数字】

    • **2460億円分の「架空の売上高」**だ。

    • これにより、会社の業績は実際よりも良く見えた。株主や親会社に対して「我々は成長しています」という嘘の成績表を見せることができたわけだ。しかし、これは中身のない泡(バブル)だ。

  • 実行犯・外部代理店が得たもの:【現実のキャッシュ】

    • **最大330億円の「現金」*

    • ここが重要。取引をグルグル回す過程で、「手数料」や「差額」という名目で、少しずつ資金が外部の代理店(協力者)に抜かれていった。

    • KDDI側から見れば、売上という「数字」は増えたが、手元にあるはずの「現金」が330億円も消えてしまった。

「売上は虚栄(Vanity)、利益は正気(Sanity)、現金は現実(Reality)」

「売上」という虚栄を膨らませる裏で、「現金」という現実を盗み出していた。

会社にとっては、ただ現金を吸い取られるだけの、最も質の悪い「寄生虫」のような取引だったと言えるね。投資家としては、この「現金の流出」をいかに早く止血できるかが最大のポイントとなる

1. 事件の概要

  • 発表日: KDDIは6日に発表。

  • 対象企業: 子会社の「ビッグローブ」と、その子会社「ジー・プラン」の2社。

  • 内容: 広告代理事業において、2017年以降、最大で累計2460億円の売上高が架空に計上されていた可能性がある。

  • 損失額: これに伴い、最大330億円の損失が発生する見通し。

  • 対応: 外部弁護士らによる特別調査委員会を設置し、3月末に調査結果を発表する予定。

2. 不正の手口(循環取引)

  • 事業内容: ネット広告の出稿を希望する「広告主」と「ウェブ媒体」を仲介する広告代理事業。

  • 実態: ジー・プランが事業を開始した2017年以降、架空の取引で資金を循環させていた。実際には広告主が存在せず、広告も掲載されていなかった。

  • 取引の流れ(記事内の図解より):

    1. 広告代理店①が架空のネット広告掲載を発注。

    2. ジー・プラン、ビッグローブが受託。

    3. 広告代理店②へ委託。

    4. 発注元の代理店①に再委託(※ここで資金が戻る形になるが、広告は掲載されず)。

    • この取引を繰り返し、売上高を架空計上していた。

3. 被害金額と影響

  • 資金流出: 広告代金や手数料の名目で資金が入出金されており、その過程で外部の代理店に計330億円が流出した。これを今後、損失として計上する。

  • 売上への影響例: ビッグローブの24年度の売上高は約2300億円あったが、このうち約820億円が架空計上だったとみられる。

4. 関与者

  • ジー・プランの社員2人が不正に関与しており、この2人はビッグローブにも出向していた。

  • 取引に関わった他の複数の代理店も不正に関与していた可能性がある。

5. KDDIの対応

  • 決算発表の延期: 6日に予定していた25年4〜12月期連結決算の発表を3月末に延期すると発表。

  • 謝罪: 松田浩路社長は記者会見で「多くの関係者にご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申し上げる」と陳謝した(写真参照)。

現時点での報道では、「組織ぐるみの指示」とは書かれていない。

しかし、「組織的な『欠陥』があったことは間違いない」**


1. 記事にある「事実」:実行犯は少数

「ジー・プランの社員2人が不正に関与し、この2人はビッグローブにも出向していた」

つまり、現段階では**「特定の社員(2名)と、外部の代理店が結託して行った犯行」**。社長や役員が「やれ」と命令したという記述はない。

2. 投資家が抱く「疑念」:なぜ9年もバレなかった?

組織的な問題

  • 期間の長さ(2017年から):

    たった2人の社員が、会社の目を盗んで9年間も不正を続けられるだろうか?

    普通の会社なら、監査法人や経理部が「この取引、実態がないのでは?」「資金の動きがおかしい」と気づく

  • 金額の規模(売上2460億円):

    機内販売の金銭を盗むような数万円の小銭ではない。というか小銭でも解雇になるのに2460億円もの架空売上が計上されていた これほどの規模の数字が動いていて、経営陣が「まったく知らなかった(気づかなかった)」とすれば、それはそれで**「管理体制(ガバナンス)の組織的な欠陥」*

3. 「組織ぐるみ」には2種類

  • タイプA:意図的な組織犯罪

    経営陣が主導して「売上が足りないから架空計上しろ」と指示した場合。これは最悪のケースだ。東芝やオリンパスの事件はこちらに近い。

  • タイプB:組織的な職務怠慢

    現場が暴走しているのに、上層部が見て見ぬふりをしたり、チェック体制がザルだったりした場合。「誰も止めなかった」という意味で組織の問題だ。

今は「タイプB」に見える

現状のニュースでは、**「現場の暴走(タイプB)」**の可能性が高いように見える。

KDDIがすぐに「特別調査委員会」を設置し、社長が謝罪しているのは、「我々は知らなかったが、監督責任はある」というスタンスだから

3月末の調査報告書で、**「上司は報告を受けていたか?」「なぜ監査で見逃されたか?」**が明らかになる。そこで「実は黙認していた」となれば、話は「タイプA」に変わり、株価へのダメージはもっと深くなるだろう。

今のところは、**「実行犯は少数、それを許した組織の管理能力に重大な欠陥があった」**と理解しておくのが正確

今回の事件を理解するには、この3社の**「親子関係」と「稼ぎ方」**を知っておく必要がある。複雑な会社組織図よりも、シンプルな「家族」として見るとわかりやすい。


1. 家系図(誰が誰の子か?)

まず、この3社は血の繋がった家族だ。

  • おじいちゃん:KDDI(大黒柱。auなどの通信で巨額を稼ぐ)

    • お父さん:ビッグローブ(KDDIが2017年に買収した子会社)

      • 孫(子供):ジー・プラン(ビッグローブの子会社。今回の事件の舞台)

つまり、KDDIから見れば、ジー・プランは「孫」にあたる。おじいちゃん(KDDI)は、孫(ジー・プラン)が部屋で悪さをしていることに、長い間気づかなかったわけだ。


2. ビッグローブ(BIGLOBE)とは?

「インターネットの水道管屋さん」

  • 何をしている?

    昔からある有名な「プロバイダ(ISP)」。家のパソコンやスマホをインターネットに繋げるための「接続サービス」を提供している。「ビッグローブ光」や「格安SIM(ビッグローブモバイル)」などが有名。

  • ビジネスの特徴:

    一度契約すれば、毎月チャリンチャリンと利用料が入ってくる。非常に安定的で、本来は「サブスクリプション(継続課金)」モデルの優良企業。NEC(日本電気)から独立し、その後KDDIの傘下に入った。

3. ジー・プラン(G-PLAN)とは?

「ポイント交換所 兼 広告屋さん」

  • 何をしている?

    元々は**「ポイント交換サイト(Gポイント)」の運営が有名。色々な店で貯めたポイントを、別のポイントや電子マネーにまとめるサービス。 しかし、今回の事件で問題になったのは、もう一つの顔である「広告代理事業」**だ。

  • ビジネスの特徴(ここが落とし穴):

    「企業の広告をネットに出す手伝い」をする仕事。

    • コカ・コーラなら「瓶が何本売れたか」数えれば在庫が合う。

    • しかし、ネット広告は「画面に何回表示されたか」という形のないデジタルデータ

    ここが不正の温床になった。「広告を出しました(嘘)」「わかりました、代金を払います(嘘)」と書類だけでやり取りしても、形がないからバレにくい。

    ジー・プランは、この「見えない商品」を悪用して、架空の売上を作っていた。

親(ビッグローブ)やおじいちゃん(KDDI)は、「孫(ジー・プラン)はポイント事業や広告でコツコツ頑張っているな」と信じ込んでいた。

しかし実際は、孫は部屋に閉じこもって、仕事をしているフリをして(架空取引)、お小遣い(資金)を外部の友達(協力会社)とぐるになって抜き取っていたようなもの。

「ビジネスが複雑になればなるほど、不正の隠れ場所は増える」

これが、今回の事件から学ぶべき教訓

「KDDIという巨象にとって、この不祥事は『痛い』が、『致命傷』にはほど遠い」

理由は感情論ではなく、単純な算数とビジネスの構造にある。

なぜ「揺るがない」と言い切れるのか


1. 「財布の大きさ」が違う(財務的視点)

まず、KDDIという会社がどれだけ稼いでいるか、その「規模感」を把握しよう。

  • KDDIの稼ぐ力(営業利益): 年間で約1兆円レベル。

  • 今回の損失見込み: 最大で約330億円

これを家計に例えてみよう。

もし年収が1000万円だとしたら、今回の損失は33万円程度。

33万円を落としたら、確かに痛い。「しまった!」と叫びたくなるだろうし、家族会議(株主総会)ではこっぴどく叱られる。だが、それで**「明日から破産して路頭に迷う」だろうか?**

答えはNO。生活(経営)は問題なく続く。KDDIの財務体力は、この程度の損失で傾くほどヤワではない。

2. 「城壁(本業)」は無傷だ(事業的視点)

重視するのは**「エコノミック・モート(経済の堀)」だ。KDDIの「堀」とは何か? それは「通信インフラ(auやUQ mobile)」**。

今回の不正は、子会社(ビッグローブ)の、さらにその一部の「広告代理事業」で起きた。

  • 全国の通信タワーが倒れたわけではない。

  • 何千万人のユーザーの個人情報が流出したわけではない。

  • 明日、君のスマホが繋がらなくなるわけではない。

消費者は「ビッグローブの広告部門が不正をしたから、auを解約してドコモにしよう」とは、なかなかならない。スイッチングコスト(乗り換えの手間)が高いからだ。

本業のキャッシュフローを生むエンジンは無傷だ。これが、会社が揺るがない最大の理由。

3. ただし、「信用」というガラスはヒビ割れた(ガバナンス視点)

財務や事業は揺るがないが、唯一傷ついたものがある。それは**「投資家からの信用」**。

  • 「KDDIの管理体制はザルなのか?」

  • 「子会社の不正を数年間も見抜けなかったのか?」

こうした**「評判のリスク」**は、ボディブローのように効いてくる。海外の機関投資家は、ガバナンス(企業統治)の甘い企業を嫌うから。

株価は一時的に「お仕置き」を受けるかもしれないが、会社そのものの存続が危ぶまれるレベルの話ではない。

だから今回の事件で株価が下がったら自分の配当基準に達したら買いましします。

今回の件は、KDDIという巨大な船にとって、**「船底に小さな穴が開いた(330億円の損失)」**程度の事故だ。

沈没の心配はない。ポンプで水を出し(損失処理)、穴を塞げば(再発防止)、船はまた何事もなかったかのように進み続ける。

心配すべきは「倒産」ではなく、**「経営陣がこの小さな穴を、どれだけ真剣に、迅速に修理するか」**という姿勢。

今のところ、**「パニックになる必要はない」**という。


1. 私が抱く最大の懸念:「台所のゴキブリ」理論

「台所に1匹のゴキブリを見つけたら、そこには必ずもっと多くのゴキブリがいる」*

  • 期間の長さ(2017年から):

    私が最も懸念するのは損失額そのものよりも、「2017年から長期間にわたって不正が行われていた」という事実だ。これは突発的な事故ではない。企業統治(ガバナンス)という家の土台に、長い間ゴキブリが住み着いていたことを意味する。

  • 管理能力の欠如:

    親会社であるKDDIが、子会社の資金流出(330億円もの現金が外部へ消えている)に何年も気づかなかったというのは、警報ベルが鳴り響く事態だ。私が投資する際、経営陣の誠実さと能力を何よりも重視する。この「監視の目」が機能していなかった事実は、数字以上のダメージだ。

2. 「わからないもの」には投資しない

私は「自分の理解できる範囲(能力の輪)」でしか投資をしない。

  • ビジネスの複雑化:

    「広告代理店①→ジー・プラン→広告代理店②→代理店①」という循環取引の図を見てくれ。これは価値を生まない、単なる数字遊びだ。ビジネスモデルが不必要に複雑で、どこで現金が生まれているのか不透明な企業は、私の「検討対象外(Too Hard)」の箱行きになるリスクがある。

  • 会計への信頼喪失:

    「会計はビジネスの言語」だ。その言語が嘘をついていたのなら、過去の決算書も、PER(株価収益率)も、すべて疑ってかからなければならない。信頼できない数字をもとに、企業の価値を算定することは不可能だ。


3. 今後の投資判

では、KDDIはもう投資対象ではないのか? いや、そう決めつけるのは早計

A. パニック売りはしないが、静観する

KDDIの本業である通信事業は、依然として強力な「経済の堀(Moat)」を持っている。人々は明日もスマホを使うし、通信料を払い続ける。今回の不正は子会社(ビッグローブ)の話であり、KDDI本体の通信インフラが崩壊したわけではない。

しかし、**「霧が晴れるまでは動かない」**のが賢明だ。

特別調査委員会の結果が出る3月末までは、さらなる「ゴキブリ(隠れた損失や関与者)」が出てくる可能性がある。不確実性が高いうちに賭けに出る必要はない。

B. 「ミスター・マーケット」の反応を待つ

もし市場がパニックになり、この不祥事に過剰反応して、KDDIの株価を**「本業の価値を無視するほど激安(安全域のある価格)」**まで叩き売ったとしたら? その時はじめて、大きく買います

ただし、それは以下の条件が満たされた時

  1. 膿(うみ)が出し切られたと確信できること。

  2. 経営陣が問題を認め、再発防止策を徹底し、誠実さを取り戻す姿勢が見えること。

  3. 本業のキャッシュフロー創出力が傷ついていないこと。

「評判を築くのには20年かかるが、それを崩すのは5分で十分」

KDDIは今、その信頼を取り戻すための正念場にいる。もしKDDIの株主なら、慌てて売る必要はないかもしれない、3月の報告書が出るまでは「お預け」。もしこれから買おうとしているなら、今はポップコーンでも食べながら、事態の全容が見えるのを待つのが一番賢い投資行動。

まずは、3月末の調査報告書で「ゴキブリが何匹いたのか」を確認しよう。

ここですでにKDDIに投資している投資家なら

KDDIを持ち続ける【メリット】(強気材料)

「エコノミック・モート(経済の堀)」の強さが、ここでの主役だ。

  1. 「堀」はまだ埋まっていない(本業の堅牢性)

    今回の不正は子会社(ビッグローブ)の広告事業の話。KDDIの本丸である通信事業(auやUQ mobile)で、顧客が解約ラッシュを起こすわけではない。人々は明日もスマホを使い、毎月料金を払う。この圧倒的なキャッシュフロー創出力は、330億円の損失程度では揺るがない。

  2. 連続増配への期待(株主還元への意欲)

    KDDIは日本を代表する「連続増配銘柄」だ。330億円の損失は痛いが、年間1兆円規模の営業利益を稼ぐKDDIにとって、配当原資が枯渇するほどの致命傷ではない。経営陣は株価維持のために、意地でも増配記録を守ろうとするだろう。君はその恩恵を受け続けられる可能性が高い。

  3. 「ミスター・マーケット」の過剰反応を利用できる

    もし市場がこのニュースでパニックになり、株価が大きく下がれば、会社が実施する「自社株買い」の効果が高まる。会社が安く自分の株を買い戻せれば、君が持っている1株あたりの価値(EPS)は自動的に上昇する。

  4. 財務体質の厚みがクッションになる

    KDDIは強固な財務基盤を持っている。ギリギリの経営をしている会社なら330億円は倒産の危機だが、KDDIにとっては「高い授業料」で済むレベル。この財務的な体力があるからこそ、安心して夜眠ることができる。

  5. 不況に強いディフェンシブ性

    世界経済がどうなろうと、通信はインフラ。今回の不祥事は「社内の問題」であり「景気の問題」ではない。他のハイテク株や景気敏感株が暴落する局面でも、KDDIの事業そのものの安定感はそのまま。


KDDIを持ち続ける【デメリット】(懸念材料)

一方で、無視できない「見えないコスト」も存在する。

  1. 「ゴキブリ」がまだ潜んでいるリスク(不確実性)

    最大のデメリット。調査報告が出る3月末まで、あるいはそれ以降も、「実はもっと損失が大きかった」「他の子会社でもやっていた」というニュースが出るたびに、株価はボディブローのようにダメージを受ける。この**「不安な期間」を耐える精神的コスト**は大きい。

  2. ガバナンス(企業統治)評価の低下による株価低迷

    海外の機関投資家やESG(環境・社会・統治)を重視するファンドは、こうした不祥事を極端に嫌う。彼らが「KDDIは管理能力に欠ける」と判断して資金を引き揚げれば、業績が良くても株価が上がらない「万年割安株」の状態が続く恐れがある。

  3. 「死んだ金(Dead Money)」になる期間

    問題が解決し、信頼が回復するまでには時間がかかる。その間、株価が横ばいで推移するとしたら、その資金を他のもっと有望な成長企業(例えばS&P500のインデックスなど)に投資していれば得られたはずの利益(機会損失)を逃すことになる。

  4. 経営陣の「集中力」が削がれる

    本来なら、次の成長戦略(AI、ローソンとの連携、宇宙事業など)に100%の力を使うべき経営陣が、この不祥事の火消しや再発防止策、謝罪に時間を奪われる。これは目に見えないが、長期的には企業の成長スピードを鈍らせる大きなマイナス。

  5. 特別損失による一時的な数字の悪化

    今回の330億円は特別損失として計上されるため、当然ながら当期の純利益は減る。これにより、見かけ上のPER(株価収益率)が悪化したり、ROE(自己資本利益率)が下がったりすることで、機械的に売り注文が出る可能性がある。

「株券ではなく、ビジネスを買っていると思う」

もし、「KDDIの通信ビジネスや、ローソンと組んだ経済圏構想は10年後も強力だ」と信じるなら、今回の330億円の損失(KDDIの年間利益の数%程度)は、長い映画の中の「不快な1シーン」に過ぎない。売らずに配当をもらい続けるのが正解。

もし「経営陣の管理能力が信用できない」と少しでも感じ、夜も不安で眠れないなら、それは売り時だ。安眠できること以上に高いリターンなど存在しない

3月末の報告書が出るまでは、株価はフラフラする。どっしりと構えて、自分が「ビジネスのオーナー」であることを忘れない。

「売上は虚栄、利益は正気、現金は現実」

「売上」という虚栄を膨らませる裏で、「現金」という現実を盗み出していた。

会社にとっては、ただ現金を吸い取られるだけの、最も質の悪い「寄生虫」のような取引だったと言えるね。投資家としては、この「現金の流出」をいかに早く止血できるかが最大の関心事になる。

ところで「経済の堀(Economic Moat)」は「参入障壁(Entry Barriers)」と同義であり そこには「城(ビジネス)を守り続ける『永続性』」**というニュアンスがある


1. バフェット流「城と堀」の理論

私はビジネスを**「お城」**に例える

  • 城: 企業そのもの。中には「利益」という金塊が眠っている。

  • 城主: 経営者(誠実で有能であるべきだ)。

  • 敵: 競合他社。「その金塊を奪いたい(シェアを奪いたい)」と常に狙っている。

もし城の周りが平地なら、敵はすぐに攻め込んでくる(参入してくる)。だから、城の周りには深く、広く、ワニやサメが泳ぐ**「堀(Moat)」**が必要。

この堀が深ければ深いほど、敵は攻め込めず、城は長く繁栄できる。これが「参入障壁」の視覚的なイメージ。

2. 「堀」を作る4つの源泉

単に「参入するのが難しい」だけでなく、**「一度入った客を逃がさない」**ことも立派な堀。

① 無形資産(ブランド・特許)

  • **「心の中のシェア」**。

  • 例えば、コカ・コーラディズニーApple。「他より少し高くても、あれじゃなきゃダメだ」と客に思わせる力。これがあれば、安いコーラを作る会社が現れても、王座は揺るがない。

② スイッチング・コスト(乗り換えの手間)

  • **「面倒くささの壁」**。

  • 今回のKDDIがまさにこれ。携帯電話のキャリアを変えるのは面倒  解約金、手続き、家族割の変更…。銀行や会計ソフト(Oracleなど)もそう。一度使い始めたら、よほどのことがない限り他社には移らない。これが強力な堀になる。

③ ネットワーク効果

  • **「みんなが使うほど便利になる」**。

  • VisaMastercardFacebook。使う人が増えれば増えるほど、そのサービスの価値が上がり、後から来たライバルは太刀打ちできなくなる。

④ コストの優位性

  • **「どこよりも安く作れる」**。

  • コストコAmazon、私の持っている保険会社GEICOだ。規模の経済を生かして、他社が真似できない低価格を実現する。これも立派な堀。


3. KDDIの「堀」を再点検

KDDIの「堀」は、②スイッチング・コストと、政府の認可が必要な**参入規制(許認可)**という二重の壁で守られている。

楽天モバイルが参入して苦戦しているのを見ればわかる通り、通信業界の「堀」は極めて深く、広い。

だからこそ、「330億円の損失でKDDIは揺るがない」

城の中の小さな小屋(子会社)でボヤ騒ぎ(不正)が起きても、城を囲む**「堀」の水は干上がっていない**。敵(ドコモやソフトバンク)がすぐに城を乗っ取ることはできないからね。

「探しているのは、幅の広い堀に守られた素晴らしい城であり、その堀にはワニやピラニアがうようよ泳いでいてほしい」

投資先を選ぶときは、今の株価やニュースだけでなく、「この会社の堀は何か?」「その堀は、10年後も埋められずに残っているか?」を問いかけ、夜安眠できるようにしましょう。

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