命を守る脱出の90秒ルール

飛行機事故に対応できるようCAが行っている訓練CAの仕事

命を守る90秒ルールとは、飛行機で緊急事態が起きた際に、ドアの半数出口から乗員乗客全員を、発生から90秒以内に全員機内から脱出させる世界基準のルールです

機内から90秒以内に脱出ができない場合、火災や爆発によって乗客の命が奪われる確率が高くなるのです

この記事では、CAが、あらゆる状況に対応できるよう訓練をうけている内容をご紹介します この記事を読むと、飛行機事故が起こった場合、90秒以内に脱出する過程がわかります

CAと乗客の協力

A380」の緊急脱出は何秒で可能か? | Global 旅日記 出典:https://ameblo.jp/milkyht2/entry-11745663275.html

 
飛行機内で緊急事態が発生すると助けに来る人はいません
CAと乗客が力を合わせて自分の命を守る行動をする必要があります そのために事故が起こった場合、飛行機から90秒以内に脱出できるようにCAは特別な訓練を受けています
 
 
 
離陸した時から私たちCAとお客様は、運命共同体です
 
飛行機内で緊急事態は、突然発生します
 
空の上を飛んでいる私たちにとって、命に関わる重大な出来事なのです
 

緊急事態の定義とは

  • 火災発生
  • 機内に煙が充満する
  • 飛行機の機体が著しく損傷
  • 海上に着水(飛行機は15~20分で完全に沈むといわれています)
  • 機内に浸水し始める
  • 燃料漏れ
 

 

機内にいるCAとお客様が力を合わせて、緊急事態を乗り切るしかないのです

 緊急事態発生後、90秒以内に飛行機から全員が脱出できると、全員の命が助かる可能性が高まると言われています  

脱出の90秒ルールとは

A380_Emargency3 出典:http://finesky1.jugem.jp/?eid=70   「90秒ルール」は世界的ルールで、航空機製造メーカーに課せられているルールです   機内で火災が発生するなど緊急事態の時に、機内の半数の非常口を有効に使って 90秒以内に全員が脱出できるように飛行機は設計されています    

どうして機内の全部のドアではなく、半数のドア?と不思議だと思いませんか?
 

それは、機体へのダメージでドアが開かなくなる、火災や煙でドアが開かない可能性が高いからなんです 私たちCAは、その規定に従って素早く脱出させる訓練を受けています  

教官の操作で、ドアを開けても開かないような仕組みになっているので、その時のCAの素早い対応を採点しています

乗客の中には老人や小さな子供や足の不自由な人もいます

多様性を考慮した90秒なのです

外に火災が発生していないか確認した後は、10秒以内に滑り台を膨張させて乗客を脱出させます  

ドアは60㎏とても重いんです!アメリカの航空会社は、ドアさえ開けられればCAに年齢は関係ないので65才以上のCAもいます

訓練では、乗客役のCAがわざと「降りたくない!」と叫んだり、大きな荷物を抱えて手放さなかったり、CAを困らせます

CAは、乗客へ怒鳴ったり、荷物を奪い取ったりとサービス中の表情から豹変するのは、私たちには命を守る使命があるという現実と、1年に1度の訓練に合格できないと乗務資格がはく奪されてしまうのです

 

教官は、90秒以内に全員が脱出することができるのか、秒数を計っています

 

私は訓練で何度か逃げ遅れて飛行機から逃げ出せませんでした

 

 

脱出に成功した事例

2007年8月20日、那覇空港で中華航空120便がエンジンから出火し爆発した時、乗員の指示で、乗客・乗員全員(165人)が火災発生から60秒前後で脱出し、1人の犠牲者もでなかったのです

  出典:https://blog.goo.ne.jp/junsky/e/c8fa1d489502eaeb0f7240cea8ae3529

CAと乗客の確認事項

大韓機事故で「ルール破り」続出 CAの指示きかず荷物持ち出し、事故機間近で写真...: J-CAST ニュース【全文表示】 出典: https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/00811/  

脱出の仕方は、飛行機の種類によっても、着陸する場所が陸地と海で変わってきます

パイロット・CA・乗客の確認事項

  1. 状況を把握し、情報を共有(アナウンスや個別に説明)
  2. 緊急着陸や緊急着水までに残された時間を共有
  3. 衝撃防止姿勢の取り方を説明
  4. 衝撃防止姿勢をとる合図の出し方を旅客へ説明
  5. 着水時、救命胴衣着用の仕方を説明
  6. 鋭利な物を除去することを依頼
  7. 区分けした脱出口を説明

 

私たちCAは、重要度の高い項目からお客様に説明を始めます

 

衝撃防止姿勢

衝撃を受けにくい姿勢を説明します

誰よりも頼りになる!JALの客室乗務員が受ける緊急脱出訓練を体験!! 25枚目の写真・画像 | RBB TODAY

出典:https://www.rbbtoday.com/article/img/2012/11/27/98416/239557.html

 

私たちCAが「頭をさげて!HEADS DOWN」と叫びます

乗客は
  1. まず座席の背とテーブルを元の位置に戻す
  2. シートベルトを締めているか確認
  3. 顎を引いて前傾し、前の座席の背へ頭を付け、両手の指は組まずに頭の後ろに置き、かかとを引くか、前の座席がない場合は、腕を両足に沿わせる
この姿勢が衝撃を受けにくくする姿勢と言われています
 
 

訓練中は大声で一日中叫び続けるので、翌日のフライトでアナウンス担当になると声がかすれてしまいます

 
ハスキーボイスのCAがいたら、訓練の翌日だと思って間違いないです
 
衝撃防止姿勢は、飛行機の座席前にあるパンフレットに記載されています
 
 

  出典:https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000039.html  

ちゃんと読んでますか? 記念に持ち帰る乗客や、暑い夏は、うちわにしてる乗客が多いです

 

持ち帰っても大丈夫です

 

足りなくなった冊子類は座席を清掃する時に補充してます

国際線では、毛布や枕を持ち帰る人もいます そんな時、私だったら見て見ぬふりしてます

合図の出し方

パイロットからCAへ機内アナウンスで指示が出ます

 
出典:https://www.news-postseven.com/archives/20191002_1460445.html?DETAIL
 

私たちCAが、「頭を下げて!」と叫んでから、飛行機が停止するまで、この姿勢を続けます  

頭を下げて、HEADS DOWN!」「頭を下げて、HEADS DOWN!」
 

と叫び始めると同時に、乗客はそれぞれの衝撃防止姿勢を取り始めます  

飛行機が完全に停止してからシートベルトを外すことができます

CAは、乗客の混乱防止と鎮静化を行います  

大丈夫落ち着いて、STAY CALM!」「大丈夫落ち着いて、STAY CALM!」

 

脱出直前確認する事項

  • 燃料漏れがないこと
  • 滑り台を出すスペースがあること
  • 火災が発生していないこと
  • 着水していないこと
  • ドアモードがスライドが出る状態であること

安全ならば、ドアを開けます

 

滑り台が膨張したら、乗客をドアへ誘導します←ここが10秒以内!!  

飛行機の中や外に火災が発生していないことを確認するのを忘れてはいけません
 

注意点

  • 手荷物を持たないこと
  • ハイヒール等で滑り台を傷付ける物を身に着けないこと
  • 混乱防止

    出典:https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000039.html  

多くの乗客が、荷物を持って脱出しようとします

ルール破りの行為が批判の的となっています  

乗客が荷物を持ち出そうとした事例①

2013年7月6日 サンフランシスコ国際空港で起きたアシアナ航空機の着陸失敗事故で、荷物を持ち出した旅客がいたことでネット上で「人命よりも荷物が大事なのか」という批判が続出

事故機に乗り合わせた企業幹部が微博で公開した写真。複数のキャリーバッグが持ち出されたことが分かる 出典:脱出時は「荷物持ち出し」御法度なのに・・・ アシアナ航空事故で「ルール破り」、批判続出: J-CAST ニュース  

乗客が荷物を持ち出そうとした事例②

モスクワ郊外のシェレメチェボ空港でアエロフロート・ロシア航空機が着陸後炎上した事故で、通路が1本でしかも後方のドアが開かず、前方の生存者37名の乗客が棚のスーツケースを持ち出し脱出したことで、乗客乗員41人が死亡した

出典:荷物取り出しで犠牲拡大か ロシア旅客機の炎上事故: 日本経済新聞 (nikkei.com)

着水時

救命胴衣の着用の仕方

出典:https://www.ana.co.jp/group/safe/culture/education.html  

救命胴衣を頭からすっぽりと被り、ひもを腰に巻き、金具で留めます  

CAの指示があるまで、膨らませないでください

脱出する前に膨らませてしまうと、視野が狭くなり、身体の自由を奪われ脱出が困難になります モコモコになって、機材によっては、ドアから脱出できない可能性もあります

飛行機のおすすめ座席】機内とサービスを知り尽くした元ANAのCA ... 出典:「飛行機小さい非常口」の検索結果 – Yahoo!検索(画像)  

鋭利品の除去

怪我防止のため、機内の荷物を固定し、尖った物を収納します

緊急脱出時のお願い | Peach Aviation 出典: flypeach.comhttps://www.flypeach.com/lm/ai/inflights/security/emergency_evacuation  

  • ハイヒールはスライドを傷つける恐れがあるので脱いでください
  • ボールペンなどの鋭利品は、怪我の恐れがあります

  裸足で、怪我をしても命が大事です 私たちCAも空港ではハイヒールを履いていますが、離陸の前にローヒールに履き替えています

脱出口の選定

乗客の脱出口を説明します

f:id:dutcheez:20180408181346j:plain 出典:6.4.7 飛行機の非常口の数と形について – Learn English with FUN! (dutcheez.org)

 
 
 
1つの脱出口に固まるのではなく、区分けされた近くの脱出口から素早く脱出することが必要です
 
  • ドアが歪んで開かない
  • 外が火災で脱出できない
 

他の脱出口から逃げ出します  

私たちCAは、訓練を繰り返し行うことにより、言葉や動きを身体が覚えています

 

最後に

飛行機事故で死亡する確率は、交通事故で死亡する確率より低いといわれています

飛行機事故で死亡する確率は0.002%、交通事故で死亡する確率は0.2%

つまり100分の1以下なのです

 飛行機事故は、1日1回、乗ったとしても1万306年に1回の可能性なのです

  • アメリカの国家運輸安全委員会の行った調査によると航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.0009%
  • 日本では、今後30年以内に航空機事故で死亡する確率は0.002%です

  参考文献:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%AA%E7%A9%BA%E4%BA%8B%E6%95%85

そしてキャビンアテンダントは、厳しい訓練を乗り越えて乗務しているので、是非、安心して空の旅を楽しんでいただきたいと思います  

 

飛行機内でコロナウィルスに感染するリスクが低い座席とその理由をCAが教えます
密閉された飛行機内でコロナウィルスに感染するリスクがあるのではないか?飛行機は、世界中のウィルスや菌を運んでいます。そして機内は、空気が乾燥し、密閉された空間なのです。この記事を読むと、感染リスクが低い座席が、窓側でトイレから遠い座席であることがわかります。

 

コメント

  1. Tomo より:

    初めまして、ランキングからきました。
    CAさんって華やかに見えますが、ハードなお仕事ですよね。写真の飛行機の悲惨な状態を見て、いつも私が安全な空の旅ができているのは航空業界の方達のおかげなんだなぁと思いました。ありがとうございます^^

    • せらせら より:

      Tomo様 
      ステキなコメントをありがとうございます。
      >私が安全な空の旅ができているのは航空業界の方達のおかげなんだなぁと思いました。
      とおっしゃっていただけると、頑張ってやっていてよかった!と思えます。
      事故に限らず、機内でトラブルが起こると、CAだけの力では何もできないので
      お客様の力を借りることが多いのが現実です。

      客室乗務員は、身体を使うハードな力仕事が多いので腰痛や外反母趾が多く、また人間関係や事故のトラウマで退職する人がいます。
      最近はコロナの減便でフライトがなくなり、他業種へ出向したりと「こんなはずじゃなかった」と辞めていく若いCAが多くいます。
      新しい分野へのチャレンジも始まっているので、それぞれの航空会社の未来を楽しみにしていてください!

  2. Tomo より:

    SNSで繋がった元CAさんや航空業界の方達のお話を聞く機会があり、華やかな世界だと思っていたけど大変な仕事なんだと知りました。
    どんな仕事もそれぞれ大変なことも良いこともあるけど、全く異業種の私から見ると、CAさんは語学、接客、体力、容姿など必要なスキルや気をつけないといけないことが多いのですごいなぁと尊敬です。
    コロナはどの業界も大きなダメージを受けていますが、これからの働き方が変わるきっかけになりましたよね。どんな未来になるのか気になります!楽しみにしています^^
    私もブログやってるのでもしよければ見にきてください。また遊びに来ます。

    • せらせら より:

      Tomoさん、https://coffee-travel.net/ 拝見しました!!とっても素敵でインスタやツイッターをフォローさせていただきました。私はカフェイン中毒?と思うほどコーヒーが好きなので興味深く読ませていただきました。私の知らない世界が広がり明るい気持ちになれました。ありがとうございます。気分転換したい時にtomoさんのブログへ飛んでいきます!

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