技能実習生の機内での様子
真夜中のボーディング

東南アジアの空港は使用料が安いので、成田空港が開く早朝6時を目指し、真夜中に出発します
エコノミークラスへ流れてくるお客様が、全員ベトナム人10代~20代の若者達でした
みんな同じジャージ姿にリュックを抱え、笑顔で、覚えたての日本語を使って、カタコトで挨拶してくれます
「コンニチハ」
飛行機が初めてだという彼らにシートベルトの使い方を説明して離陸を迎えました
食事サービスを始めると、彼らは、不安そうな顔になり、周りをキョロキョロ見回しました
身振り手振りで「飲み物や食事に出すお金がない」ことを必死にアピールするのです

機内食は無料です!飲み物も何倍飲んで大丈夫です!と私は、目頭が熱くなるのをこらえ、好きなだけ食べて飲んで欲しいことを伝えました
それでも不安そうな顔をして、周りを見回すのです
グループの1人がリンゴジュースを飲んでいる姿を見つけて「あれ、あれ」と指さして同じものを頼み始めました
リンゴジュースやオレンジジュースの紙パックを見せて「好きな物を選んで大丈夫です」と伝えましたが、やはり不安そうな顔をして「あれあれ」と周りが飲んでいるリンゴジュースを指さし、ほとんど全員がリンゴジュースを頼みました
少しでも多めに注いで、食事トレイをテーブルの上に置くと、周りが食べているのを確かめてから、安心して機内食を食べてくれました

回収する時に見たトレイは、洗い終えた食器のようにキレイに完食してくれていたのです
ベトナム技能実習生の理想
座席での過ごし方がわからない様子で、彼らは映画も見ず、音楽もきかず、目を開いてじっと座っていました
6時間のフライトの中で、目があうたびに「アリガトゴザイマス」と言うので

一緒に日本語の練習をしました
満面の笑顔で「サクラ」「フジサン」と日本に行くのを楽しみにしていたのです
彼らはベトナム人技能実習生のグループだったのです
ベトナム技能実習生の現実
日本で働けばすぐに返せると思って、数百万の借金をしてでも仲介業者にお金を渡すのですが、現実は低賃金・劣悪な労働環境で働かされていることがあるのです
実習生の多くが貧しい農村地帯出身で

テレビやネットで日本の桜や富士山の映像を見て憧れるようになったというのです
- パワハラ(暴言、暴行、暴力)
- セクハラ(有無を言わさず身体を触られる)
- 労災隠し(仕事中にケガをしたのに治療を受けさせてもらえない)
- 低賃金、賃金不払い、残業代未払い(研修生だから払わなくていい)
- 長時間労働、休日出勤
- 旅券や在留カードを取り上げる
- 劣悪な労働環境
多くの実習生が
- 仕事がきつい
- 転職が許されない
- お金がもらえない(保険料や家賃、光熱費の名目で賃金を引かれ、手取りが4万円程度)
- 不当な扱いを受ける
1人で悩んでいるというのです
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/kishanote/kishanote25/
日本で失踪する技能実習生が増え、社会問題化し

一方、ベトナムでは
送り出し機関が、徴収する上限を、3600ドル(約38万円)と定めているにもかかわらず、政府の担当者に賄賂を渡したり政府の家族が、業者を運営していたりと、罰せられることはないというのです
管理団体の相場
人気のある仕事 | 1人の受け入れに要求する金額 |
食品加工業 | 25万円 |
農業や水産業 | 10万円 |
建設業 | 5万円 |

ベトナムでは技能実習生を送り出すことが、国ぐるみのビジネスとなっているのです
参考:朝日新聞デジタル 2021年6月23日 16時00分https://www.asahi.com/articles/ASP6Q5GJVP6GUHBI03K.html
CAとしてできること

路地裏に入ると貧困層の劣悪な生活を、見ることもできます
CAの私にできることは、エコノミークラスで出会う技能実習生になる人たちを、温かく迎え、お腹いっぱい食べていただき、少しでも楽しい時間を過ごしてもらうことです

来日する彼らを全力で応援していきたいと思います
そして生き生きと技能実習生が働く企業を応援していきます
太田金属株式会社 https://www.ohta-metal.com/topics/519/
出典:くるまのチャンス 2020/03/15
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