空での精神疾患対応

CAの仕事

飛行機はドアが閉まると密室で、機内は、狭くて薄暗く、外に出ることができないので

  • パニック障害
  • 閉所恐怖症
  • 高所恐怖症
  • 飛行機恐怖症

の人にとっては、逃げ場がなく、恐怖の空間と言われています

安心してください!たくさんの解決法があるのです

 

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解決方法

旅客自身

  • 事前に安定剤や睡眠薬、入眠導入剤を服用する
  • 付添人の同行
  • 深い深呼吸をする

CAの対応

  • 背中をさする・手を握るなど、落ち着くようそばにいる
  • 飴やガムを口に入れるなど意識の向け先を変える
  • 出口に近い席や、広い場所へ移動

最終的には

ドクターコールをします

機内には医療器具や抗不安薬も搭載(使用制限あり)されており、CAは、応急措置を訓練しているので安心して空の旅を楽しむことができます

 

私が経験した精神疾患の旅客の例をご紹介します

閉所恐怖症20代前半女性の例

 
 
 

シートベルトサインが消えると、慌てて立ち上がり、機内をぐるぐる歩き始めました

下をうつむいたまま、何周も歩き回っていたので、他のお客様が不審に思い、彼女は、機内中の注目を集めました

 

私たちCAは、後ろからついて歩き、背中をさすったり、手を握ったりして、話を聞きました

 

羽田~沖縄への約3時間のフライト

1人旅の彼女は「歩くと気持ちが落ち着く」

「歩くのを止めると、閉じ込められた不安感と逃げだせない恐怖で押しつぶされそう」と涙を流しました

 

彼女は自分が閉所恐怖症であるという自覚が少なく、搭乗前に申告をしていませんでした

 

無事に沖縄についた時は、お客様も私たちCAも、本当にほっとしました

 

閉所恐怖症の人は、逃げられない場所にいることで死の恐怖を感じることがあり、苦しみは本人しかわからないと言われています

 

本人に自覚がなく、飛行機に乗って初めて自身の症状に気付く場合もあります

 

 

 

飛行機恐怖症30代後半男性

 

男性は、空港での待合室の時から、恐怖心を持っており、離陸の時は身体が硬直し、冷や汗が出ていたと言います

 

離陸の3分と着陸の7分、合計11分間の事故率が高いので恐怖を感じる人は多いのです

 

男性は自分で足が伸ばせる席を、予約していましたが、症状の申告はしていませんでした

 

CAシートの目の前の席だったので、硬直する姿や冷や汗が出ている症状を見つけることができたのです

 

 

すぐにオシボリや水を渡し、背中をさすりました

 

その方には、付き添いの人がいて、航行中は安心して眠っていました

しかし着陸前から硬直し始め、結局一言も話すことができず、飲食することもできませんでした

今回のように、本人が1人で苦しむ場合もありますが、苦しみから逃れようと飲酒して、暴れ出す人もいるので、注意が必要です

 

パニック障害30代女性

女性は、飛行機に乗ってきてすぐ、自分の座席に座った途端、慌てて立ち上がり

「隣の席が空いてない!!」と必死に言い寄ってきました

 

この便は満席です

 

というと、「無理です!降ります!」

「いや、仕事だから行かなきゃいけない」と言って泣き出しました

 

ボーディング中でドアが開いていたので

 

今なら降りることができます

どうなさいますか?

 

 

地上係員へ連絡し、ドアを閉めるのを待ってもらいました

女性は

「飛行機の中に睡眠薬か安定剤はないですか?飲んで寝れば香港まで4時間半、なんとか我慢できます」

 

と言うので、機内に睡眠薬や安定剤がないことを伝えると

 

「やっぱり無理です」と泣きながら降りることになりました

 

その女性が、荷物をまとめて、ドアから降りた後は、すでに出発時刻を過ぎていました

 

薬は服用して20分~30分後から効果がでるので、時間を逆算して飲むタイミングを工夫するよう伝えました

 

パニック障害は、自分は死んでしまうかもしれないと思うほどの恐怖感で呼吸困難になると言われています

 

 

私たちCAは、精神疾患の旅客にも快適に過ごせるよう精一杯努力しています

しかし、事前に隣の席を空けたり、エコノミークラスからビジネスクラスに移すなどの行為は、公平性の観点から許されていません

他の旅客に協力してもらい広い場所へ移動したり、ギャレイで話し相手になり、気分転換をしてもらい、なんとか乗り切ってもらっています

 

パニック障害と申告があった方は、トラブルを避ける為、離陸前に飛行機を降りてもらうことが増えてきました

 

 

 

長いフライトで洋上飛行やシベリアの上空を飛行する場合、途中では、降りる空港はありません

最近ようやく精神疾患に偏見がなくなってきたので

自覚症状がある人は、事前に医療機関で受診し、睡眠薬や安定剤を持参している人が増えました

 

持ち込み品に厳しいオーストラリアやアメリカ入国では、税関に持ち込み品全てを申告する必要がありますが、少量で自分用の場合は、ほとんどの人が申告していません

 

 

 

薬が効きすぎて到着しても起きない人(松岡修造さん)や機内での記憶がない人もいます

松岡修造さんから学ぼう!プロ意識の大切さ
松岡修造さんは、ウィンブルドンのオープン以降、ベスト8入りを果たした日本人初めての人です。彼の輝かしい実績の裏で苦悩する姿を垣間見れる機内での様子はプロスポーツ選手としての自己管理の難しさを痛感させられる出来事でした。彼のプロとしての魅力をお届けしています。

 

私は、体調管理や時差調整の為に、睡眠薬や入眠導入剤を服用することは、必要不可欠だと思っています

 

 

症状が不安で飛行機に乗ることをためらうことがある場合、私たちCAが最善を尽くして協力しているので、是非、安心して空の旅を楽しんで欲しいです

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